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配信観劇その19『ウィンザーの陽気な女房たち(The Merry Wives of Windsor)』(グローブ座、2019)

グローブ座の配信、『ウィンザーの陽気な女房たち』。6月14日までの無料配信。

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ヘンリー四世に出てくるフォルスタッフが主人公。といっても時代設定も違うし、話はドタバタコメディ。エリザベス一世の依頼で短期間で書き、シェイクスピアの作品の中では出来がよくないとか。

しかし演出がなかなかノリがよく、質の良いドタバタコメディになってました。

毎回グローブ座の見て思うのは、これ「8時だよ!全員集合」じゃないか〜!です。今回は特にもうそのもの。

音楽は古いディキシーランドジャズっぽく、場面転換には欧米のTVコメディみたいな間奏。フォルスタッフが女装して逃げる時の喧騒はドラムロールに合わせて。妻たちが夫らに事の次第を説明するシーンは、音楽に合わせてパントマイム風。

スレンダーの使いの男が戸棚に隠れていて、キーズ医師がそこをたまたま開いてしまい、見つかるシーンは大げさにお互いにギャー!と叫んでコントっぽく。

フォルスタッフはとにかく下世話で面白い。下ネタもいっぱい。夫人らの態度に喜ぶシーンでは、客席を見てイエーイ!と激しく叫ぶ。鹿の扮装してるときにドレミの歌を歌ったり、あれはアドリブかなというとこもちらほら。

2人の夫人もなかなかのコメディエンヌぶり。フォルスタッフに失礼な手紙をもらった時に、ペイジ夫人が「この男どうしてやろうか」と客席に尋ねると「テムズ川に放れ!」という返事に「ひどい案ね。でも考えとくわ」と返す。フォルスタッフはこの後川に放られる筋書きなので、客はそれを知ってて言ってるわけなので、もしサクラでなければペイジ夫人役はノリが良い。

他にもフォルスタッフがカゴに入ってるのを運ぶ召使いらの動き、ギーズ医師とエヴァンズ牧師の決闘、ギーズとスレンダーの結婚画策のくだり、とにかくすべて大げさでわざとらしい。デフォルメしまくってるが、リズムがいいのでケラケラ笑いまくってしまった。

ラストはミュージカルっぽく、これまた皆歌がうまい。そしてそのままエンディングになるのだが、ジャズに合わせてかなりレベルの高いステップのダンス。ただコメディやるだけではなく、全部レベルが高い。

芝居だけど最初から最後まで笑いを崩さない。予定調和を徹底的に見せる。そしてダンスと歌が盛り沢山。ドリフのコントを見てた時のそれである。というよりドリフは当時から舞台とは何か、理解して体現していたということなんだなーとしみじみ思ってしまった。