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ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

配信観劇その20『DISTANCE』(本多劇場)

本多劇場グループPRESENTS「DISTANCE」。

初のストリーミング配信の観劇。Zoomの配信演劇は見たけど、劇場での無観客生配信は初めて。

ストリーミングなのでたまーに回線が一瞬切れたりもしましたが、おおむね集中して見られました。部屋を真っ暗にして見ると臨場感ある。カメラの切り替えがあるので、それは少ない方がもう少し臨場感あったかも。

5日目の近藤芳正さん一人芝居「「透明爆弾 とうめいばくだん」を観劇。
脚本・演出は深谷晃成(第27班)。

オープニングは録画されたものらしい。本多劇場の外観から階段を登り、除菌と検温、チケットを受付で買うなどの劇場に行って席に着くまでの一連の動作を自分がしている目線の映像。

これはちょっとぐっときた。本多劇場に来たことある人なら、いろいろ考えてしまうだろう。階段を登った左手の窓から見える隣の土地はまだ工事中。

受付はあの小さな窓口ではなく、入口手前に新たに設置されたBOX型。これは感染対策だろう。ロビーにはマスクやフェイスシールドをつけたスタッフさんら。

 

物語は近藤芳正さん演じる漫画家・染野が子供向けの伝記本でサダム・フセインのことを描くことになる。漫画家はフセインとブッシュを実際に交互に演じることで作品作りをする設定。なので近藤さんは三役をせわしなく演じる。

心優しい染野はよく知らなかったフセインについて調べていく。すると実はフセインはそんなに悪ではなかったのではないか?アメリカやイランだって結構勝手じゃないか?とどんどんフセインに共感していく。

そして善悪とは、正義とは?政治とは?そんなに白黒はっきりさせなきゃいけないのかな?

なかなか今の時代言いにくい部分に触れているが、染野のような人はわりと多いのではとも思う。

娘に今大ヒット中の漫画みたいなの描いてと言われて、でもお父さんはホッとするような漫画を描きたいんだと弱々しげに言う。

強く言い切ったり、反論したりはできないが、なんとなくそうじゃないよな〜というところは曲げられない。そんな優しい人間。

 

本編の前後に、上演されなくなった本多劇場を清掃する2人組(川尻恵太、御笠ノ忠次)のシークエンスがある。演劇とはどんなものか。生で観るとはどういうことか。演劇は必要なのか。なんと言っていいか、伝えにくいことを2人が語る。

最後に拍手の響かない本多劇場から、3人が深々と画面の向こう側の観客にお辞儀をする。

さみしいが、これがいつまでも続かないことを願う。そして今は元に戻るまでできるかぎりのことをしたい。そしてこの状況も忘れないでおこう。