2005年に旗揚げされた演劇ユニット真心一座。その第一作の再演。
当時、ものすごく気になっていて、その後も２作目、３作目の評判を聞くにつけ、うずうずしてたんですが。なんかもう、人づてに話聞くだけでおなかいっぱいになる感じで。
千葉雅子さん脚本、河原雅彦さん演出、座長が村岡希美さん。そんでもって、毎回ゲストラバーとゲストレイパーを招いて、姉たつこがラバーと恋に落ち、妹かつこがレイパーに凌辱されるというあらすじだけ聞いただけでもう。どんなやねん、どないやねん。
しかし、来年にながれ姉妹シリーズも完結、今回は好評だった第1作を再演と聞き、もう見る機会が本当にないぞ〜と思い、友人と行ってきました。
本当に百聞は一見にしかず、ですな。
松重豊さん演じる五十嵐と恋に落ちる千葉さん演じるたつこのかわいらしかったこと！自分で書いてるから、どうしても照れが出て、ああいうプラトニックな感じになってしまうそうですが、そこがまたイイ！時々素なんじゃないのかな、と思ってしまう。たつこが（というか千葉さんが）照れれば照れるほど、松重さんの魅力が増幅される。すいません、私、初めて松重さんをカッコイイと思いました（誰に謝っているのか）。なんつうの、オトナの男？ほぼ死語になりつつある言葉だけど、ただ立っているだけで、たつこを見つめるだけで、すべてを語る。背中で演技するってこういうことなのね〜。子供のように五十嵐にだっこされるたつこ。まったく色気はないのに、手もつないでないのに、2人の間に流れる空気にキュン。
反対に、凌辱され運命に振り回されるかつこ。こちらは千葉さんの筆と、河原さんの容赦ない演出で、ひどい目にあいまくり。村岡さんがまた似合うんだよね。きりっとした美しさが、他人の手によって崩され、乱されて行く時の美しさ。かつこもわざわざその渦の中に入っていくんだけど、その身の任せ方が、ただ流されているだけでなく、受け止めてまた立ちあがっていくという。ちょっと天然なかつこではありますが、不思議と鼻につかない。
「ケレン味に溢れる」というのは、HPのイントロダクションの一文。ともすれば、二時間ドラマのような、っていうか設定も話も人物キャラも二時間ドラマそのものじゃん、なんだけど、ギャグでありながらギリギリ真剣なライブ。ケレン味は確かに溢れてるのに、でも嘘くさくない。そこは千葉さんの書く台詞のうまさ。削ぎ落して、嘘くさい設定の中に台詞は本気。
笑いたいけど、笑うけど。でも真剣な姉妹にドキドキしました。
レイパーの粟根さんが、無表情で、でも底に狂気や怒りを秘めてるこわい男を色気たっぷりに。かつこに毒気を抜かれた後の力の抜け具合もなかなか。
伊達暁くんは相変わらずの存在感と色気。沖縄弁がセクシーでした。が、ラストのチンピラ役が怖かった…まじで怖かった。本気の極道の人みたいです…。「がや」で色んな役をやると、振り幅が広いのがはっきり分かって面白かった。
市川しんぺーさんは、気を抜いてるとがしっとこちらの気持ちを持って行くので、いつも参ります。あのルックスだから、つい忘れてしまうのよねー。妻を寝取られた男をあんなに切なく演じるなんて！初演の小林さんのを見てないのですけど、あて書きかー！つうくらいはまってたなあ。
来年1月のファイナルは、ゲストに古田新太さんと池田成志さんだそうなんですが、どっちがラバーでどっちがレイパーなんだ〜。気になる〜。私は意外性（？）でラバーに古田さんに1票。
