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真心一座 身も心も ザ・ファイナル「流れ姉妹 たつことかつこ〜エンド・オブ・バイオレンス〜」

このチラシって、古田さんは「グリース」だとわかるけど、池田さんのは「ジキルとハイド」かな〜?


帰国直前にWEBでチケット見たら、偶然この日だけチケットがあったという。どうやら、撮影が入っていたのでその分でおさえていた席がいくつか空いたらしく、ラッキーにもゲット。駄目だったら当日券狙おうと思っていたので、よかったー。
真心一座の人気シリーズ、これで最後。そして、毎回豪華ゲストで飾っていた、ゲストラバー&ゲストレイパーに池田成志古田新太というギットギットの大御所を満を辞してもってきたという。この二人、よくキャスティングできたなあ〜。やっぱ、座長と作家と演出家の人徳のなせる技でしょうか。もうこんなすごい企画、そうそう見れないのでは。
夏の1作目の再演と今作しか見てないので、間の2と3が抜けてるのだけど、それでもこのシリーズのトンデモなさは楽しめる。でも、今回は今までにいろいろ広げまくった謎や伏線や、たつこやかつこの運命をどうやってまとめるのか、気になってました。
しかし、長いながらも、うま〜〜くまとめてさすが。無理やりな感もあるけど、ああ、そこはそうしちゃうの!そうきたか!という感動ばかり。無理やりな部分も、この作品の「けれんみだらけ」というコンセプトならではなので、まったく気にならない。むしろ、その乱雑ぶりが魅力。そして、雑なようで、実はひとつひとつのエピソードにしっかり決着をつけているし、すばらしい「オチ」でした。
しかし、今回は池田さんにやられました…。もう、後ろの席でよかったよ。あの顔芸、近くで見たらほんと悪夢に出てきそうだー。講談師という役柄で、出てる時はほぼしゃべりっぱなしなので、目が離せないし。たつこは妹なのにエロイことするし(但し暗闇で)、ある意味「ラバー」じゃなくて「レイパー」でしょうよ。もう役者っていうのは、観客を凌辱する、そういう生き物なんだな…と敗北感すら感じました。わーん、1作目の松重さんがあまりに素敵ラバーだったので、なんなのこの差!千葉さん、自分のラブシーン書くの恥ずかしいから、こんな風にぶっとんじゃったのかしら。しかし、今までのなかで、たつこの「相手」として申し分ない。ガチンコでたつこに向き合った、一番のラバー「兄」なのです。二人の幼き時のエピソードのじれったさ、これこそ千葉さんの恥じらいが生んだの名シーン。
かつこは相変わらずアウエーな中で、自分の善良さを見失わない。懐深く、愛情深く。しかし、さすがにゲイコミュニティの中のアウエー感というのは、やはり厳しい。小林顕作さん演じるマッチが、恋人の槙村(古田さん)の真実を知ってかつこと槙村をなじるシーンはあまりのパワーに、やはりかつこの善良性もここまでか…とむしろマッチの人間臭さに共感しそうになり、やはりかつこの人の良さが若干鼻につくなあと思っていたら、そこもすべてひっくり返して全部まるごと包み込んで、しまいには逆レイパー!そうきたか〜〜〜!村岡さんが振り切った演技で、思わず拍手喝さいでした。流れとしては、それでいいのかという無茶ぶりだけど、かつこの本当の意味での懐の深さを描ききった、作家の千葉さんに脱帽。
受けに回った古田さんの演技も深い深い。池田さんの役にに比べて、おとなしめなキャラなので、一見印象が薄いようですが、要所要所に印象的な演技をする。皆に愛されながら、過去を隠し、人知れず悩み、前向きに生きるというふりをする槙村という人間。パワーだけでは演じられない、しかもゲイという複雑な役をほんのり毒をもって演じる。
今回、ゲイコミュニティというネタが出てきたんだけど、「鯉が滝を登りきって龍になる(という奇跡的なこと)」というネタは、よく読んでいるゲイの方のブログにもあって、有名な話なんでしょうか。他にもレインボー柄のはんてんとか、ゲイ世界の話がきちんと出てたので、いろいろよく調べてあるな、と。千葉さんのほうからのアイディアなのか、河原さんからなのか。
ガヤは相変わらずすごかった。途中でそっと伊達くんが抜けたシーンは分ったんだけど、その後反対側から息せき切って別の役で出て。んで元の役に着替えが中途半端で出てきて。ここはわざとそうしてるけど、他のシーンでも、相当ガヤは忙しかったはず。
たつことかつこは、やっと心の安住を得て、めでたしめでたし…。ああよかった。たつこもかつこも、これからも大変だろうけど、いつまでも仲良く、そして幸せになってほしい。兄妹仲良く、そして谷村に見守られながら、これからも周りも巻き込むパワーで生き抜いて。そんな風に登場人物に思える作品はいい作品だと思う。
真心一座、また次回作あるのでしょうか。気になる〜。