je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

愛読書的人?

東京島 (新潮文庫)

東京島 (新潮文庫)

無人島に流れ着いてしまった31人の男とたった一人の女。繰り広げられるサバイバル、どす黒い人間模様。
桐野夏生さん、お得意のオンナの業がたーんまり、どーっぷりつまっております。桐野さんの作品は読むたび、どーんよりしちゃうんだけど、なんか癖になるんだよねえ…。身に覚えはないはずだしないと信じたいけど、でもなんか近場でありそうだし、共感したくないけど、引きずり込まれてしまう。でも、桐野さん自身は「あんたもこんなんでしょ?」みたいな、女性作家にありがちな、人の自意識を指摘しながら、自分の自意識を無視した書き方はしてないので、ある程度距離を置いては読める。でも、実はそれも策略なのかな?ほんとの意味で、「自分の世界に人を取りこむ」という作業を成している、結構こわい作家。
でも、今作はどことなくおかしみがある。今までの作品もあるにはあるのだけど。
異常な状況で、主人公も男たちもどんどん変になって、プリミティブになる。これまでは結果「死」に向かっていくことが多かったように思うけど、今作はひたすら「生きる」ことが単純な目的になっていて、あらゆる欲望に貪欲すぎるくらい貪欲になっていく様が、当たり前のことに必死になっていく様がおかしい。
ちょっと共感したのは、「ものがない」という状況。今、広州に住んでて、日本に当然あるものがなくて、もう慣れてきたけど、あるものでなんとかしていくという状況。ここは無人島じゃないけどさ。中国人漂流者と日本人漂流者との違いも、すごおく分かる。日本人は音楽や工芸や、文化的なとこに「逃げ」て外部からの助けを待つけれど、中国人は旨い料理を作り食べる、そして島から出ることも自らの力でなんとかしようととことんやる。割と簡潔な描写だけど、的を得ている。
ところで、これも映画化されるんだが、主人公が木村多江ってどうよ。木村さん好きだけどさ〜、演技も上手いし〜。でも、読んでた時の脳内キャスティングはマツコ・デラックスだったんですけど!
母とも「違うよね〜」「誰が合うかね〜」と話してて、「かたせ梨乃」がベストキャストという事になったんだが、かたせさんだとハマりすぎて泥臭すぎで、映画に客が入らないねなどと勝手なことをぬかしてました。
もっと納得いかないのは、ワタナベ役の窪塚洋介くんなわけですが。なんですか、無人島イケメンパラダイスじゃん!うーん、窪塚くんも演技うまいからね〜、別にいいんだけど。綺麗なキャスティング過ぎる気が…。ワタナベ役は私の脳内キャスティングでは香川照之さんだったんですけどね。かたせ梨乃と香川照之ってだけで、すごい映画になりそうだと思うんだけどなああ!