je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

いまさら読んでみた

東電OL殺人事件

東電OL殺人事件

なんでいまさら読んでるんだという感じですが、ずっと読みたいなあと思ってて、でもその厚さにくじけていた一冊。岡村ちゃんもはまってしまったという、東電OL殺人事件。事件より、そのOLの背景に惹かれてしまうんだろうなあ。
バブルよりももっと前の、女性が働くには厳しかった時代から、何を見て何を思って、ねじれていってしまったんだろう?生い立ちなのか、生まれついてのものだったのか、時代の変化によるのか、人間関係なのか、働くことに疲れてしまったのか。でも、なんだかそんな想像つく範囲のことじゃないのかもしれない、と思わせる魔力がある。
作品は裁判を中心に描かれていて、被害者の遺族のコメントはなく、彼女の背景については距離のある感触しか無い。それが余計に想像力をかき立てられる。
そういや、事件の前の2−3年、私は週末はよく円山町近辺で遊んでいた。というとなんだか誤解をまねきそうだが、クラブ円山っつうアバンギャルドなとこがあって、そこのイベントによく行っていたのだ。でも、そんな女の人には会わなかったしなあ、と思って読んでたんだが、なんのことはない。彼女は終電で帰っていたのである。私は終電で渋谷に行っていたクチなので、すれ違いなわけだ。でも、今は知らないけど、確かにあの辺の、なんだかすべてを吸い込んでしまうようなパラレルな空気は、なかなか他の繁華街ではなかったなあと思う。
読み終わったら、桐野夏生の「グロテスク」を読み直したくなり引っ張りだす。そんで岡村ちゃんを久々に聞きたくなったりして。