je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

いろいろ読んだもの

海外ドラマを見ていたら、bookworm(本の虫)を、「オタク」と訳していた。なぜに。

夜の公園 (中公文庫)

夜の公園 (中公文庫)

ハードカバーで出ていた時に、立ち読みでほとんど読んでいたのだけど、印象的だったので文庫で購入再読。
夫に愛情を感じられなくなったりりが、公園で出会う青年と関係を持つ。りりの夫もまたりりの親友と関係があり、その親友は別の男がいて。
という設定が「セックスと嘘とビデオテープ」(かもしくは昼メロ)のよう。そして、りりが青年と初めて声を交わすシーンは「ヴァイブレータ」のよう。
だけど川上さんの文章はそんな類似性や、ありふれた設定に惑わされることがない。
たまたま恋愛(か関係)があって、そこから物語が動いていき、そこから自然と流れていく。
主張も拒否も迎合もない。暖かい日のアイスティー、寒い日のホットコーヒーのような、決して過剰にならないほどよい読後感。こちらは重く、けっこうずっしりと残る作品。
神戸連続児童殺傷事件より前に、神奈川の高校で起こった凄惨な同級生殺害事件の事件後の被害者インタビューをもとにしたルポ。
事件後、被害者家族は精神衰弱や自殺未遂など立ち直れない傷に迷い苦しみ続けていたが、加害者の少年は、出所後に弁護士となり新しい人生を歩んでいた。
しかし本書は加害者への取材は少なく、主に被害者少年の妹への取材を中心に、家族の話が綴られている。
あえて一人称で語る形式をとっているので、入りやすく読みやすいが、筆者の文章の巧みさゆえ、入り込んで客観的視点をなくすようなこともなかった。
被害者関係者の保護は近年重要性を増してきているけれど、何故必要なのか分かりやすい。