je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

読書Rock

またもや、いろいろ読んでてまとめて感想。

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

GWに夫さんと一緒にはまって読む。
某有名航空会社をモデルにしたフィクション、なんだけどほぼ実話な感じが面白い。主人公の恩地元は、積極的・人道的な組合活動が故に、アカのレッテルを貼られ、10年くらい僻地に飛ばされ(2巻分。可哀想な設定ではあるが、アフリカの描写や各国の当時の状況の描写は面白い)。なんとか日本に戻って来るが窓際課長に。そして、会社は例の飛行機事故でいろいろあり(3巻。これだけ読んでも面白い)、恩地は遺族係に生きがいを見出すのだけど、新しい会長の下でまたもや会社の荒波にもまれる(4巻&5巻)。
実話が元だけど、キャラがかなりデフォルメされてて、悪役はもろに真っ黒に描かれているので、ドラマチック過ぎる。こんなんさすがに嘘だろうと思うが、でも本当のとこもあるのだろうなあ。こわいこわい。映画化が諸事情で頓挫しているらしいけど、ええやん映画は映画でやっちゃえば。
恩地は確かにかっこいい奴だけど、行天が面白い。ハゲタカにおける鷲津のよう。映像化で、もっと行天のキャラを掘り下げるか、思い切って主人公にするとかなら、まったく違うアプローチになるのでは、と思うがそれは著者の意図するとこではないだろうしなあ。
昔、労働関係の職場にいたので、多少組合関連の話は明るいが、うーんどっちもどっちな部分もある、と思う。でも、金持ってる奴が強い。


火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

龍は眠る (新潮文庫)

龍は眠る (新潮文庫)

宮部みゆきの小説は、まるっきりフィクションな話なのだけど、その人物描写にはリアリティがある。山崎豊子のそれと比べるのは、また畑が違うのかもしれないが、悪人を描くのではなく、人の心の中の悪を描くという点で、現実よりも現実を描いている。悪人も犯罪者も確かにいる。しかし、その悪意はいったいどこから来るのか、といつも考えさせられる。そして、その悪意が面白いのが困ったところだ。

The Beauty Queen of Leenane and Other Plays (Vintage International)

The Beauty Queen of Leenane and Other Plays (Vintage International)

英語のテキスト、というよりはまったく違う言語を読んでる感じ。例えれば、中華料理屋に行って中国語のメニューなんだけど漢字だからなんとなく分かっちゃう、みたいな。
かなりブラックユーモアたっぷりなのだけど、読んでて楽しい。長塚くんは、Beauty Queen of Leenaneだけ演出したが、この世界観をよく理解してるなーと思う。ブラックになりすぎず、暗くなりすぎず、アイロニックになりすぎず。
A Skull in Connnemaraはまだ日本ではやっていないようだけど、ぜひ長塚君にやってほしいなー。しゃれこうべがゴロゴロあって楽しそうな芝居になることでしょう(どんなだ)。The Lonesome West は他のカンパニーでやっているよう。セリフのテンションはこれが一番面白かったので、芝居としてやりやすいかな。でも、やっぱり長塚君にこのアホ兄弟*1の、世紀末的兄弟喧嘩を演出してほしい。兄弟喧嘩なんてこんなもんかもしれない、と思わせる絶妙な感じをぜひ。
ところで、散々名前を間違えられるWelsh牧師は、3作ともずっと皆に間違えられている。

*1:この兄弟は本当にアホです。殺し屋1に出てくるあの兄弟と似てる。マクドナーは殺し屋1見てるような気がしてならない。