je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

読んだけども

読んだけど、それなりに面白かった。でも、と言いたくなる本をわざわざ紹介するのもいかがなものか。ではあるが、面白いは面白いのだ。

松田優作はファンではないが、元妻でありノンフィクション作家として評価の高い著者があえて書いたというのに惹かれて読んだ。
正直、文章はうまい。松田優作の元妻、なんて肩書きは不要、てかそこで勝負してこなかったし。才能ある人なんだな、と。
ここまで、松田優作の役者としてだけではなく、根本の生き様に肉薄してるのは、近くで見ていた人の特権で、文章にしたのは素晴らしい。
ただ、美由紀夫人へのルポがいっさいない。そしておそらくは依頼もしなかったんだろうなあ、というのが惜しい。
著者のノンフィクション作家としてのキャリアを考えると、作品として不完全で、惜しい。
桃井かおり、水谷豊、村川透監督らのインタビューは素晴らしく、さすがだなと思うが。

読んだのは結構前なんだけど、「沈まぬ太陽」と続けて読んで、しばし我が家でブーム。
アメリカと日本という二つのアイデンティティを持った主人公の話、というのが、現代にも通じる部分があり、そのテーマは面白い。
ただ、ラストがほんといただけない。「華麗なる一族」もなんだけど、他に道はないのか?と。
山崎豊子の着眼点は、どの時代にも通じて決して色あせないし、作品にはすごいパワーを感じるのだけど。

アヒルと鴨のコインロッカー」と続けて読んだ。面白いし、じわっとくる台詞も多い。ミステリー作家ではなく、表現者として希有なものを感じる。
現代作家の中でも、今後どうなるか見続けていきたい。
ただ、ダメっていうわけではいし、むしろ他も読んでいきたい、と思うけど、好き、ではない、のだ。実は、村上春樹を読んだ時にも同じ事を感じた。

いわゆるバブル世代ってこんな感じだよな、と思う。はたらくことに希望があって、ものすごく絶望した、幸せで不幸な世代。
昔の上司がこんな感じだった。んで、鬱になって世界一不幸だって叫びまくってた。「9.11が自分を変えた」って言ってたなあ(ほんとかよ)。
赤坂真理とどう違うのか、と思う部分もあり。正直、赤坂真理の作品も著者の作品も、映像の方が断然よかった印象。