je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

『HYMNS』@青山円形劇場

ブログを書くのがあまりに久々すぎて、書き方忘れてる・・・やば。4月もGWもいろいろ見たり、行ったりはしてるのですが、おいおい追加していこう・・・(自分に言い聞かせてます)。
さて、前売りは取ってなかったのですが、旦那はんが飲み会で遅いからと急に言うので(早く言え!)、はてどうしようかなと思い、当日券で行ってきました。開演15分前でしたが、余裕で入れました。

「MYTH」より分かりやすい、「LYNX」は未見だけど、設定は近い。そして、今更ながら、演出の鈴木勝秀さんのカラーが分かってきたかも。演出物の時は、あまりカラーがないのかな、と思ってたけど、いろいろ今まで見たのを思い返してみて、やはり何かしら演出の考え方って出ていて、すべてつながっているんだなと。それだけ今回の作品はシンプルながら、くっきり濃いものになっているのでは。
大昔、子供の頃、芝居をやっていたことがあり(恥)、その時の演出の人の手法が、ちょっと似ていたことを思い出した。よくある手法ではあるのだが、だいたいのおおまかな設定だけ与えて、あとは演者のインプロヴィゼーションでやらせるという、一種の演技の訓練(時間10分、ラストだけ同じなど決め事はあり)。何が出てくるか分からないので、やってる側には緊張感が絶えないのだが、これが意外とのってくると面白いものだった。組む相手によっても変わるし、その日のテンションや設定内容でも変わる。はまると変な高揚感があって楽しかった(しかも英語劇だったので、これを英語でやっていたため、大変英語の勉強になった、というかそっちが本当の目的)。その時は、自分の能力のように感じていたが、実は違ったのだな、と今日見て気がついた。実は、演出家の力量によるものが大きい。もちろん、演者がある程度のベースが必要だし、理解力や想像力がないとできない。しかし、演者をうまくのせて、世界観を作らせる、想像力を引き出してやる、という演出家の作業が大部分を占めている。演者は実は、演出家のその波の上でただ浮かんでいるだけだ。
まあ、その演出家の人は性格が難しい人で、よく役者に嫌われてもいた。公演1ヶ月前に、「稽古に遊びにおいでよ」と言われて行ったら、出演者がばっくれて、空いた箇所をやるはめに。しかしその辺ののせ方もうまい人だったなあ・・・。私は相性がかなりいい方だったのだろう。でも、演出家としては良い人だった。演出家はSでないとだめだな。(とこれは余談)。
今回も随所にその即興(あえてアドリブとは言いません)が多くて、小松さんが「黒く塗れ!」を歌って、顔真っ赤になるとことか、しつこく同じことを聞くとか、佐藤アツヒロ君のアプローチがかなりうまくなっている。他の役者さんはある程度のスキルがあることは織り込み済みだろうし、実際見ていてそれも感じたのだけど、佐藤君はきっとこれを日々やっていくごとに成長していくのだろうなー。相当鈴木さんとの相性がいいのだろう。
さて、それはそれとして。
私にはオガワ=五十嵐になっていました。シロップの解散以来、実はそのことを棚上げにしてるというか、解散したことは納得したし、各誌で解散後のインタビューを読んで、安心した部分もあるけど、じゃあ心の奥底でどうなのよ?と思うと、やっぱり心臓の手前くらいでそのことを止めてるんだな。ああ、だからオガワ=私、ならばクロエ=五十嵐(シロップ)でもあるのだけど。
オガワが自分の芸術について、対価である金をもらうことについてのジレンマや、画商や友人の現実的だけどオガワの意思にそぐわない意見やら、その辺は、おそらく五十嵐がずっと感じていたことだったし。じゃあ、どうするのよ、って絵=クロエ(つまりシロップ)と対峙することは避けられなかったんだなー、と。
色々な外界の言葉のサンプリングに追い詰められて行くシーンでは、思わず涙ぐみそうになっちまいました。もうやめてあげてー!
クロエの「音楽を聴いたり、絵を見たりして、自分と同じように世界を見ている人がいるんだなって安心する」っていうセリフは最たるもので、シロップのファンのほとんどが、五十嵐の歌にそういうことを感じてたんだろうな。
まあ、そういう設定は、この芝居においては設定以上のものではなく、あまり実際に置き換えてしまうのは本意ではないのだろうけど、それだけ広がってしまうのはシンプルながら深く広いメッセージがあるのかな、と。
ラストについては、五十嵐もこんなだったらいいなー、と思ってジンとした。実は、先日、五十嵐がソロデビューっつう夢を見たんだけど、それがさわやかフォークソング☆でデビューという夢で、起きてからしばらくリアルにショックを受けてしまった・・・(アホー)。いや、夢だけど。でもそれでもいいかもなあ、とオガワを見てたら思ったよ。
カーテンコールで、アツヒロ君は、お辞儀の時に、何故か私のいたBブロックの方にちらっと上目遣いに見てから顔を上げるのだけど、それがちょっとイイ感じだったなー。ファンじゃないけど、ドキっとするのよね。クセかなあ。