je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「乱歩地獄」@テアトル新宿

前売り買ってあったので、終了直前に駆け込み鑑賞。乱歩作品のオムニバス映画。
うーむ、グロいエグい。映画というよりは、映像作品、という感じ。監督も映像作家系。
「火星の運河」は見てて目がチカチカするくらい、映像が独特。浅野くんはこういうの出た方がはまる。
「鏡地獄」が一番物語としては成立してたかも。ちゃんとミステリーだし。成宮くんは舞台での経験が反映されたのか、所作や台詞回しがよくなっていた。思い切りができてきて、役者としては面白い時期かな。
「芋虫」は乱歩の短編ですごく好きな作品。何度も読み返したんだよねー。なんでかなあ。なんか、妻の心情が暴力的で、行き詰まってて、惹きつけられたんだよね。映画はちょっときれいに作られすぎてたんで、もっと泥臭くてもいいのになあ。北村道子さんの衣装は相変わらずかっこよく、醜と美の間で危い均衡がある。そして、大森くんがもっとも大森くんでない・・・。やはりスキンヘッドにすると麿さんに激似。
「蟲」での浅野君は、あれは殺し屋1の垣原じゃないの?ちょっとシャイで、昭和の香りの垣原。ひどいことしておいて、「あれなんだっけ!思い出せない!」ととぼけた独り言。「いいこと思いついた!」と全然まったくいいことでもない、しょーもないことでその場しのぎ。どんどん壊れていって、でも幸せそう。怖いなあ、と思ったのは、狂気の犯罪者の心理ってこういう感じなんじゃないかな、ということ。もういくとこまでいっちゃうと、笑うしかない、コメディにすらなっているんじゃないか。
乱歩の世界を現代的に料理してて、どれも浮かないような全体のイメージの統一ができているのはアートですらある。が、乱歩のあの淡々としながらも、蠢く軟体動物のような奇妙な世界は再現し切れてない。もうちょっと安っぽさもあっていい。乱歩地獄、というより、宮崎プロデューサーワールド、と言ったほうが正解かも。