je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「重たい色のコートを脱いで」鷺沢萠

短編集「F-落第生」に入っている作品。一生懸命生きてるのにままならない、でもなんとか光を探していこうとする主人公の想いは励みにもなったし、もっと自分を楽にしてあげてもいい、そう言ってくれているように感じた。
前の会社に勤めてる時、あまりにもひどいことが多すぎて、もう何も感じられなくなっていた。何かきっかけがあったら、自らを傷つけることもあったかもしれない。冗談でなくそう思う。そうしなかったのは疲れすぎてそこまで行かなかったのと、やはり友人や家族、自分の愛するものの支えが大きかった。それを見失わずにいられて良かった、と今は思う。そして、その頃、「F」の文庫本をお守りのようにバッグに入れていた。帰りの電車で「重たい色〜」を読みながら何度も泣いた。そう多分、かなりおかしくなっていたんだと思う。でも命綱だった。
鷺沢さんとはなんの面識も無いし、一ファンだけれど、彼女の作品からはいつも生命の美しさを感じていた。最後の作品集「ビューティフル・ネーム」も、ずっと変わらない、何かを思って感じて生きていた人の強い強い力があった。未だ消化できていないけれど、彼女が一生懸命生きていたんだと信じてる。
明日、鷺沢さんプロデュースの舞台を見に行く。