je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「春の居場所」映画化

鷺沢萠さんの未完の作品の映画化。
http://www.kaerucafe.co.jp/harunoibasyo/
未完の作品を映画という形で完成させてしまうのは、ファンとしては色々思うところもあり。けれど、遺作の単行本「ビューティフル・ネーム」に収録された「春の居場所」は、未完ながらも鷺沢さん独特のさりげない熱と、「居場所」というテーマがぎゅっとつまって、とても彼女らしい作品のひとつ。こうやって別の形で光が当てられるのは、喜ばしいことでもあり。
主人公が思い焦がれる善行くんは、どこがどうというわけでもないのに、「あ、こいついいな」って思わせてしまう。鷺沢さんの書く男の子は、そういう感じが多い。さっぱりしてて、偏見がなくて、ずるくなくて、でもちょっと大人びてて。
信じられる人を、人は好きになるのか。心委ねられる人を、人は求めてしまうのか。鷺沢さんの恋の話は、淡々とした風景の中で、「ほんとう」にキラリと光り輝く。小さく、なかなか気が付かないものだけど。
原作は今でも、最後の行を見るだけで涙が出るのだけど。見にいけたらいいな、と思っている。それまで気持ちを整えようと思う。多分、泣くんだとは思うんだけど。