je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

イサム・ノグチ展@東京都現代美術館

最終日の前日にかけこみ鑑賞。すごい混雑だった〜。でも頑張って行って良かった。やっぱり、この美術館のセレクトは良い。そして空間としてもいつも安心感がある。
家具のイメージが強いのだけど、この人にとっては作品も家具も、空間にあるものなんだろう。折り曲げて、捻って、組み込んで、形ができて。そして、空間の中に切り込むのではなく、「置く」感じ。大きくて存在感があるものが多いのに、すんなりと溶け込む。だから、家具とした時にも威圧感がない。
ハンガーや滑り台、箪笥のような彫刻。あるかないかのくらいの存在感。部屋において、マフラーでも引っ掛けておきたい。なんていうとバチが当たりそうだけど、飾る、という大仰でえらそうな感じがしない作品たち。子供のクラフトワーク、砂遊びを髣髴とさせ、抽象だけれど決して複雑さがない。
やはり圧巻だったのは、ポスターになった「Energy Void」。緩いカーブ四角のドーナツ型。中の空洞は大きく、現美の中でも一番広いスペースで静かに息づいていた。
Voidは「空間、空洞、真空、くぼみ、虚空、すき間、間隙、空所、孔隙、空虚感、むなしさ、喪失感」の意がある。あまり前向きな言葉ではないけれど、不思議と私には「心のすき間=余裕」という数式が浮き上がった。もし心がぎゅうぎゅうに、いっぱいいっぱいになったら、息がつまってしまう。それが幸せだとは限らない。すき間があって、空きがあって、そこにはめ込まれたり、すり抜けたり、ひっかかったり。もしかしたら、緩やかに形を変えるためのスペースかもしれない。そう思えば、寂しささえも使い道のある感情なのかもしれない。