YouTubeでグローブ座の『ハムレット』を観劇してみました。
(無料公開は終了。有料で観賞可能とのこと)
英語字幕つき翻訳なしなので、英語分からんわ〜という方は敬遠しそうな気も。ハムレットはよく知られてる戯曲だし、この演出はかなりシンプルで分かりやすいのでは。
ジェンダーレスな配役だが、「斬新な演出」にありがちな男女逆転でもオールメールまたオールフィメールでもない。
ハムレット、ホレイシオ、ギルデンスターン、レアティーズを女優、オフィーリアを男優が演じている。
ハムレット役のミシェル・テリーはハスキーボイスで少年のような雰囲気もあるが、かといって男性的な魅力はあまりない。年齢相応な女性の体のラインを隠してもない。年齢不詳、性別不詳なのだけれど蠱惑的かとか妖精的かというとそうでもなく。むしろ地に足のついた演技で、ルックスに左右されない人間的なハムレットでとても魅力があった。
ミシェルの少し高めなハスキーボイスが耳に心地よい。伊藤沙莉を彷彿とさせた。ずっと松たか子のハムレットを見たいと思っていたが、伊藤沙莉のロミオやハムレットは面白かろうと思った。
オフィーリア役のシューバム・サラフ(Shubham Saraf)は背も高く、髪も短く、でもドレスを着てるだけ(胸毛もチラッと見える)。ふーんこういうオフィーリアかーと思って見てたら、こちらも素晴らしいオフィーリア。黒い目と黒い瞳(データだとヘーゼルグリーンらしい)がどんどん艶めいて。白いドレスをシュっと着こなす姿勢の良さやしなやかな手足を生かした上品な所作は、オフィーリアの育ちの良さや処女性をあまなく表していたし。狂ってからの黒いドレスで裸足で彷徨い歌う姿には思わず涙ぐんでしまいました。瞬きの少ない潤んだ黒目がちの瞳が美しすぎた。この子の歌声もほんと綺麗だった〜。声がビンゴの俳優さんが多くてそこも楽しかった。
そしてシューバム・サラムはオフィーリア死んだ後に別の役で出てきて、違和感はないんだけど早っ!そしてそこで出てくるの!って思いました。
ホレイシオとハムレット、レアティーズとハムレットの関係性も丁寧な演出。ハムレットと母親の関係も、よくあるギリシャ神話のエディプスコンプレックスどーたらなややこしい感じじゃなくて、普通に親子の情のすれ違いを見せてたし。敵役のクローディアスもただの野心家なだけではない面があったり。
ハムレットだけが悩んでるわけではなくて、皆がそれぞれの悲しみを表現できる落ち着いた演出。そこも英語分からなくても楽しめるのでは。
台詞回しも聞きやすく、字幕見ながら英語のお勉強にもなりました。
生バンド使ってて、ジャズのビッグバンド風な音楽もあったり、ローゼンクランツとギルデンスターンのシーンは手話使ってたり、全体的にちょこちょこ笑いを取る間合いの演出とか、最後にみんなで仲良く踊ってエンディングだったり、のんびり楽しめる。
追記:ハムレットは有料で観賞可能。ロミオとジュリエットは5月3日まで上記リンクのYouTubeで無料公開。それ以降の公開作品はシェイクスピア・グローブのWEBで。
https://www.shakespearesglobe.com/watch
ドネーションも受付中。