je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

アマプラ映画鑑賞『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

アマプラで見た映画をいくつか。よかったのを主にちまちま書こうかなと。あまりネタバレしないようにします。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07KM9BDG9/ref=nodl_

f:id:star-s:20200419134817j:image

 

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

当時の「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を知ってる and 伊藤みどりフィギュアスケートに夢中になった世代としてはめちゃくちゃハマります!そうそう!こんな事件だったのよ〜(歳が分かる)。

主演のマーゴット・ロビーはじめ役者のなりきり感とフィギュアのCGがすごい。えっ、トリプルアクセル飛んでるじゃんって信じていいですわ。

トーニャに限らず、母親、恋人、周りの人々の見た目はもちろん、体つきや仕草、話し方。どのくらい似てるかは最後に流れる実際の映像から分かる。

当時はトーニャ・ハーディングはとんでもない女だと思ってたけど、彼女まだ23歳だったのか。そして毒親、貧乏、無学、夫からのDVという周りの環境の最悪さに加えて、そこから来る審査員からの偏見。
フィジカルで恵まれて、才能もあり努力できるガッツもある。それでも逃れられない悪循環。最後はトーニャの幸せを願ってしまうまでに。

この話がどこまで事実なのか。第4の壁を乗り越えてくる演出の妙、マーゴット・ロビーの人間の本質を表現する外連味ギリギリの演技力に引き込まれて映画であるのをしばし忘れる。

ただ分かっているのは、この後女子のフィギュアスケートはものすごいジャンプをバンバン飛ぶ子が出てきた。伊藤みどりやトーニャの前に立ち塞がっていた「演者も観客も納得できないマイナスポイント」はいくらか解消されたのではと思う。

「美を表現する」という事と「勝負を決めるスポーツ」であるという相反する競技。そして「女性」であるが故に、より見た目に左右される理不尽さ。もちろん男性選手も見た目は重要ではあるが、女性のそれと比べるとどうなのかと思う。誰よりもジャンプを高く多く飛んでも、主観的な見た目(容姿、人種だけでなくよくわからん雰囲気とか)でいっぺんに覆される時代が横行していた頃に彼女がいたのを、伊藤みどりを応援していた私ら世代はよく知っているはずだ。

伊藤みどりやトーニャが切り開いた先に私たちはいるのだと思うと、また違った見方ができて感慨深い映画だった。