久々にみやちゃんと映画。矯正したと聞いてたので、顔を見るのが楽しみでした。…がそんなに変わってなかった。劇的ビフォーアフター的なものを期待してたのですが。ちょっと大人っぽくなってたかな？
さて、大森立兄ィの映画。フィルメックスですでに試写を見ていたので、そんなに感想は変わらず。でも、この作品はやはりスクリーンで見るべきものだと実感。最近は、DVDの売上を見込んで、アップ多用やテレビサイズな撮り方をする作品が多い中、これはちゃんと劇場で見ることを大前提にしている。その大きな画面に収まりきらないパワー。うっ屈した、でもまっすぐな。
カヨちゃん役の安藤サクラちゃんが本当に良い。地なんじゃないかと思うくらい、ウザくてバカ（しかもブス）で純粋な女の子を演じている。監督の女の子の描写のひどさっぷりにびっくりしましたが、そこをがっつり受け止めて、カヨちゃんという役を生きている。
松田翔太くんも、高良健吾くんも、ケンタとジュンを生きている。翔太くんは、テレビでは見せない演技と顔。あー、この子はやっぱり映画の子なんだなと。そして逃れられない血の持ち主なんだな、と。何箇所か、優作さんと重なる表情や動きの時があった。怒りが爆発して事務所を壊す時や、怒りや暴力のシーンは、顔の中心にぐっと力が入って鬼の形相になる。あと、撃たれてバタッと倒れるその倒れ方は研究したのか？というくらい似ていた。わざとか？わざとでないのか？どちらにしても、コピーや物まねというのは超えていた。蘇ったというのとも違う。父親を超えるというのともまた違う。むしろアンチテーゼであるとも思った。なんにせよ、似ていたとて、松田翔太という役者の力量は変わることがない。そこがすごいと思った。
この作品は、びっくりするくらい「バカ」という言葉が出てくる。嘲りのバカ、罵りのバカ、怒りのバカ、愛からのバカ…。実際、主人公3人ともバカなわけで。でも愛らしい。青春映画というファンタジーの側面が、この作品の愛すべき面でもある。
「映画で傷つけたいし、傷つけられたい」という監督の言葉通り、恐ろしさと孤独、すべての痛みについてもあますことなく描く。肉体的な痛みが、心の痛みになることを監督は知っている。そして、人を傷つけるのは何よりも人なのだと、カズとケンタの対面で見せつけ、絶望を突き付ける。
ちょうど前日に、「長男長女」と「次男次女」の関係性について話していたので、この映画は「カズ」という長男を目指す「ケンタ」という次男の物語なんだなとも思った。カズに拒否されたケンタはジュンを拒否しようとする。でもできない。ケンタにはずっとジュンがいた。でもカズはずっと一人のままで、そしてすべてを壊して、でも一人のままで。ケンタを見つめるあの目は「ほんっとお前はバカだ」と、その先に何かあると信じて、まだ兄を頼ろうとする、兄のしたことを踏襲すればいいと甘い考えの弟を憐れむ目でもあった。1回目と2回目の鑑賞で違うとすれば、よりカズに感情移入したことだろうか。長男長女はどこかＳなんですよ！愛ゆえに、かわいいからいじめるんだ〜！（お前だけじゃーと言われそうですが）
宮崎将くんは「ユリイカ」の時よりも、もっと影の濃い役者になった。妹のあおいちゃんの活躍が目覚ましいが、あの兄妹の暗い瞳は、またもう一度共演で見てみたい。
脇役の印象も強い。
洞口さんは一言も告げないのに恐ろしい。でも、ふっと微笑むのだ。1回目はその顔に気付かなかった（恐ろしさが強くて）。表情の小さな移り変わりがすごい。
多部未華子ちゃんの破壊力はほんっとびっくりしたわー。あんな子だったなんて〜！おねーさんだまされた…。まあ、でも20歳くらいの子なんてあんな感じだよね。昔、職場の後輩で「27歳で結婚するんです！」って宣言してた子がいたんだけど、何故言いきれるのかものすごく不思議だったが、だいたいの人がそうやって人生設計してるとしたら、私なんかダメダメ子ってことね…ふふふ。だったらダメでいいやと思います。こえーもん、あんな女になりたくはない…。
そして美保純の使い方、ばっちグー！くびれた腰、すらっとしたひざ下…。さすがです。
新井くん、小林さん、柄本親子と濃いいメンツの使い方も、なんつうの、猛獣使い？猿回し？役者の使い方がうまいっていうのは、ほんといい監督ってことだね。
ラストの解釈は人によってかなり違うだろう。私は、意外とカヨちゃんはさっさとつまんない男にお嫁に行って、もっとデブになって幸せになってるんじゃないかな〜と、勝手にその後の人生を考えてしまいました。陳腐だけど。でも、陳腐なのがイイ。
ところで、1回目の鑑賞の時も思ったんだけど、翔太くんと高良くんが2人してナンパしてきたら、ついていかない女なんているのか〜！と、あそこだけは監督につっこみたい。いくら作業着できちゃないカッコでも、あの顔2人来たら最強だろう。
