je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」@第10回東京フィルメックス

大森立嗣第2回監督作品、スクリーンにて初めての上映。
内容はこれからの作品なので、書きません。
破壊と破滅と刹那と薄闇と光と暴力と壁と振動と疾走と風と鬱屈と青春と旅と果てと海と理不尽と必然と怒りと太ももと想いと愛と血と拒絶と眼差しと笑顔と。とにかく全部がつまってます。
初めてゴダールトリュフォールイ・マルの作品を観たときに熱くなった気持ちが甦りました。
今いる日本の映画監督で、これができるのを他に二人知ってます。一人は橋口亮輔監督。彼の作品はもっと優しいトーンのものが多いけれど、人の心の柔らかい部分をほの甘くつまむ、あのなんともいえない感じ。大森監督もそれを知っている。魂の再生などど、軽く語れるものではないのだと。
そしてもう一人は、乾いて鬱屈した少年の暴力を描かせたら右に出るものはいない。でも今、彼はメインストリームから外れています。ファンではないけれど、もしできるなら大森監督と共に歩んでほしい、表現者のひとり。

松田翔太君は、たまたまお父さんの作品を前日に見ていたので、やっぱ似てるーと思いました。特に顔のパーツが。唇の肉づき具合や、目鼻の中心に力が入る感じ。体つきや雰囲気はお兄さんの方が似てるけど。作品が良いせいもあるけれど、もし優作さんが生きていて翔太君のこの演技を観たら嫉妬していたはず。つぶしにかかったかも。そのくらい、役者として「生きて」ました。
高良健吾くん、安藤サクラちゃんも好演。宮崎将君もいい面構えになってたし、柄本親子も絶妙。多部未華子ちゃんもちょっと出てますが、その使い方もうまい。役者陣のポテンシャルをものすごく引き出してて、それがまた無理も無駄もなく、監督の力量が感じられる。
そして新井浩文。もう書きたいけど書きません!新井浩文ここにありけり、という感じっす。出てくるたびにドキドキします(ときめきではなく)。もうお家芸の域に入ってます。

2010年初夏公開。
ぜひ見てほしい一作。私もまた見ます。