je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

トーキョーは夜の7時

ピチカート・ファイヴを聞くと、一気に二十代の思いがよみがえる。そのわりに、なにしてたっけ?と具体的に思い出せない。ワクワクと不安がないまぜになったあの頃を、ちょっと思い出させた本を。

「恋はするものじゃなく、おちるものだ」。
当たり前のことを当たり前に描いている。シチュエーションは千差万別なれど、その中身は大して変わり映えしない。誰かの不在を苦しく思い、激しい情動にかきみだされる。恋はいつだってままならず、理不尽で、苦しいもの。
ここに描かれた二人の少年は、性格も恋愛の様子も結果も違う。けれど、二人ともわざわざ苦しさを選びとっているようにすら思える。女性ではなく、まだ不安定な少年を主人公にしたのは正解だった。それを女性である著者が描いている、ということも落ち着いた客観的な筆致となったのではないか。男だって傷つくのだ。嫉妬もするし、不安な心にさいなまれる。そのことを、時々忘れてしまう。
題名の東京タワーは、あまり効果的でないように思う。人間の営みを見守る象徴、としては確かに適役だけれど。

このシリーズ、いつ読んでも胸が苦しくなります。瑞希と梶間の恋はハッピーエンドでよかった。1ヶ月しか一緒にいなくても、忘れられない人っている。梶間とかマヤマヤとか、ちょいクールな男の子のキャラが最近、いくえみ作品に多いですが、ちょっとおちゃらけた感じの、ハルタみたいな方がタイプだったりします。「POPS」の三島君とかね。