je suis dans la vie

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「間違いの喜劇」@さいたま彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

演出:蜷川 幸雄
作:W・シェイクスピア
翻訳:松岡 和子
出演:小栗旬高橋洋内田滋、月川悠貴、鶴見辰吾吉田鋼太郎瑳川哲朗、ほか
久々の観劇。蜷川さんのシェイクスピア・シリーズ。「お気に召すまま」に続き、オール男性キャストです。
上演時間二時間で、しかもテンポの良い喜劇。シェイクスピアといえば、悲劇でドロドロなのが印象的ですが、コミカルなのはある種真骨頂。終始笑わせていただきました。
船の難破で引き離された夫婦、その子供・双子の兄弟アンティフォラス(小栗2役)、その従者となるもう一組の双子の兄弟ドローミオ(高橋2役)。兄探しの旅に出たアンティフォラス弟は、その兄がいるとも知らず、敵国エフェソスへ・・・。
小栗君、高橋君の二役切り替わりが見所。基本的に仕草を変えたりはあまりなく、マントの色で区別するしかない。ともすると、どっちがどっち?と混乱しちゃうのだけど、想定済みのよう。演じる方はあまり変化を付けないようにしてるのかな。それも難しそう。小栗君は今回は座長ということもあるのか、とっても凛々しかった。前回「お気に召すまま」では、成宮くんを陰ながらサポートしていたけれど、今回は自分が主役!というのがいい感じで出てた。しかも、周りといいバランスを取り、危なっかしさもない。発声もしっかりしてきたし。もともと演技は上手い子だけど、基礎的なものの伴ってきたかな。勘がいいしね。パンフに蜷川さんのことを「じいや」と呼んだとか、軽口を叩くほどの愛嬌もあって、ほんとイイコだわー。
そして成長目覚しい、いや、頭角をあらわしてきたのは高橋君。悩める詩人、恋する青年とさまざまな役をこなしてきましたが、今回は純然たるコメディアン。体を大きく使った演技で、でもそれに無理がない。そこが大きいポイント。もともと芸人だったのでは?という感さえあって、途中で「これ高橋君なんだよなあ・・・」と感慨深くなったり。内股で恥ずかしがる仕草が萌えでしたわ。
そういや腹話術、二人ともうまいなあ、と思ったら、指導がいっこく堂でした。納得。
もう一つの見所、男性による女役。月川君に至っては、もうお家芸。ほんと、月川君はこちらが女であることを恥じてしまうくらい艶やか&たおやか。いや、マジで弟子入りしたいわー(入れてくれないだろうけど)。アンティフォラス弟に迫られるシーンは、戸惑いと誘いが混在して、手折られる花のよう。変な話、何度も胸のふくらみがないか確認してしまいました。内田君&山下さんはエグさと愛嬌が隣り合わせの女形を熱演。内田君は、嫉妬に狂う妻を愛らしく、コミカルに。なかなか彼もコメディエンヌですな。今回MVPは内田君で。
ただ喜劇でドタバタするのでなく、胸がきゅーんとする人情ものでもあります。父親役の吉田さんが冒頭、生き別れになった妻ともう一人の息子について語る長台詞は、切々と胸に響きました。あれがあるからラストがさらに生きてくる。おとうさーん!うるるん、てな感じで。鶴見さんも出番は少ないのですが、さすが貫禄があり、若手を吉田さんとともに支えます。
舞台の端で、出番のない俳優さんが座って、稽古中のように見ていたり、リラックスした雰囲気。たぶん、演劇はそもそもはこういう分かりやすく、そして民衆に密着したものだったんだよなー。いつも蜷川じいやからは、初歩的な大事なことを教わってる気がします。
終演後、与野本町を出て、新宿へ。久々に「マトリョーシカ」セゾンプラザ本店へ。素朴であたたかい味で好きなのよねー。今の時期はことに温まる。ボルシチピロシキ、つぼ焼き、ロシア紅茶のセット。つぼ焼きは野菜と蕎麦の実のを。蓋のパンを破ると、蕎麦の香りがふくよかに広がります。しかし、ここはいつも思うのですが、ウェイターの方々が年配の方が多いのは何故なの?しかもめちゃめちゃ手際がいいです。値段もたいへんお手ごろ。ワインの種類も、高価なものではないですが、料理にあった口当たりのいいものが揃ってます。メニューが見にくいのが難点ですが、それも楽しみつつ。
場所を変え、TOPSでティー&クッキー。ここの8階は初だったのですが、絵やたくさん本にかこまれて、居心地最高。久々に会う友達と乙女トークを展開し、何時間も居座ってしまいました。