je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「道元の冒険」@コクーン

長い…長かったです。1時開演で4時半前に終了。間に15分の休憩があるとはいえ。いや、3時間超えの作品なら今までだってあった。しかしものすごい体力を使いました。
劇中劇があり、現代と過去の「夢」による入れ替わりもあるため、出演者が一人何役もやらなければいけないため、早替えの連続。客席から「早っ!」という声が幾度もあがり、うまく決まると拍手さえ起こりました。なんか芝居じゃなくてマジックでも見ているような。台詞も息つく間もないほどの洪水のような量。3時間でよく収めたなあと思っていたら、今回は大幅改訂したよう。元のはもっと言葉がつまっていたのだなあ。
北村くんは「オレステス」以来の蜷川さんですが、井上ひさし作品は3回目。相当相性がいいのだなあと思う。言葉が多いので、どの役者さんもかなり手こずっていたようですが、ひいき目でなく、北村くんの台詞が一番聞きやすかった。
北村くんは主に道元の弟子、そして劇中劇における道元の修行時代・青年道元を演じている。道元が宋(中国)に渡り、中国語を学んだり(高橋さんとのやりとりがサイコー!)、悟りをひらいていく過程がさわやかに軽妙に描かれて、北村くんの持ついい意味での「軽佻浮薄」さがぴったり。
今回大ヒットだったのは、蜷川組でも中堅となった高橋洋さん。久しぶりに見たのですが、あれ、こんな人だったっけ。どの役においても、道化的な部分を出さないといけないのだけどこれがはまりまくり。一番笑いを取っていましたよ。バカ殿メイクに、怪しい髭の中国人と、見た目からして笑いを取りに来るとはー!シェイクスピアものでは、悩める青年役が多かったので、今回懐の深さを感じました。「よくやったね!」の努力賞ではなく、「ブラボー!」のMVPですよ。パンフの写真もなんか吹っ切れているような。何かあったのでしょうか。いやいいのだけど。
とにかく出演者みなさんが、結構楽しそうにやっているのがこっちも楽しくなるような芝居でした。
ラストのオチは、あー昔の井上さんぽい…って昔の作品だからね。劇中劇もいつものことだし。うーん、でもちょっと消化不良。
ただし、蜷川さんとの相性はいい感じ。やはり芝居はエンタテイメントでなくては、と思わせる。