je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「LAST SHOW」@パルコ劇場(初日)

まだ、公演が続くので、ネタバレなしで。
うわーうわー、胸が苦しい〜。なのに、ムカムカと爽快感が同居。長塚圭史にはまる人の気持ちが分かった。自分でも気付かない、奥底にあるドロッとしたものをさりげなーく見せちゃう。しかもカッコよささえある。劇場にも、若いスタイリッシュな男性がいるのも納得。男が惚れちゃう男なのかも。
中山祐一朗さんがかっこえー。古田新太さん、ぐいぐい引き込まれる。風間杜夫さんは本当にうまい。こんな芝居なのに(失礼)、きっちり見せて丁寧にさばく。キャスティングの妙を見た。どこまでアテ書きなのか、それとも、長塚ワールドにきちんと入り込んでいるのか、分からないくらいの融合。化学反応のバランスがいいのか。
永作博美さんはクセがなく、可憐で、嫌味ない。でも、この役は彼女じゃなかったらダメだ。生臭さが感じられない、彼女がやるから成り立つ。市川しんぺーさんの役はどう判断していいのか、どう位置づけしたらいいのか、まだ迷う。でも絶対必要、外せない。
北村有起哉くんは相変わらずうまい。そして、出演者の6分の1を、それ以上でもそれ以下でもなく演じている。脚本のメリハリに、うまいこと波乗りしている。
波乗り、といえば、今回の長塚君の芝居はグルーヴ感がある。話はディープなんだけど、6人がそれぞれ一つの物語を担って、6曲入りのミニアルバムみたいな。台詞も長すぎず、でもきちんとそれぞれの想いを語らせて、伝えきる。だけど、脚本の完成度だけではなく、演出しているうちに、その役者たちの力を引き出し、自分も引き出されたんじゃないか、そういうインプロビゼーションの感じられる舞台だった。予定調和があるようで、ないかもしれない。
けど、人に勧められるか、というと迷う。好きな人は好きだろう。心臓が絞られるような、憎しみと愛と、妄想と現実。つきつけられて冷静でいられないような激情。これを見て、どうすんの?お前、どう思うの?長塚くんは恐る恐る投げつけたのだろうか?それとも、はめてやろうと悪魔的にせせら笑ってるのか。抱きしめたいのか、殴りつけたいのか。耐えられる人だけついてくりゃいい?まさかそんなことは考えていないと信じたい。
家に帰ってから、テレビのニュースで、愛憎による恐ろしい事件を流していた。これが現実。でも、渋谷で見た舞台の上で繰り広げられているものと、どう違うのか。人の根底に流れるものに差などないのかもしれない。
ラストショウなんて言ってるくせに、これで終わらない可能性のある才能。怖いけど、また見たくなる。