je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「天然のカオス、大森南朋」@渋谷ユーロスペース(2005/03/17)

特集上映も終盤。大森くん主演「新痴漢日記」。そう、題名から察するに、ピンク映画です。でもいい話なの。純情初恋物語
確かに、エロを求めてきた人にはちょいとものたりないかのう。でも、エロシーンもなかなか。結構笑いながら見られます。
話は、大森君演ずるゴンちゃんが痴漢をしている電車の中で、スリをしてる女性に一目ぼれしてしまう。それがまあなんと純情なこと。彼女のあとを捨て犬の様についていって、罵倒されテンパって「結婚してください!」と言ってしまう。彼女がスリでつかまって落ち込んでいる時に、電車の中で彼女の体をまさぐって「俺が痴漢すればあいこだ」とか意味不明な行動。でも、ピアニストの夢を諦め、失恋して拒食症になって、職場も追われた彼女に「ひとつひとつ取り戻せばいい」「暗闇の中に星を見つけられる人なんだから」なんて、クッサイ台詞も似合ってしまう。オドオドしながらも真っ直ぐな瞳、つたないながらも落ち着いた声、大森君の魅力が満載。若い頃だというのもあるかな。今は自信がついて演技力も貫禄が出て、この頃の感じは今は出せないかなあ。気弱な笑顔がどこぞの国の微笑みの貴公子みたいでした。
痴漢ばかりの花紀荘の面々も、ハートウォーミングなキャラ。「誰にでも才能はある」って最初は「痴漢の才能」の話なんだけど、ヒロインの「ピアノの才能」にうまくつながってる。
結局、彼女は元の恋人のとこに戻ってしまうのだけど、「戻らせることができる男」っていうのは、大森ワールドの真髄。拒食症でビョーキな寂しい女を立ち直らせるなんて「ヴァイブレータ」だし、泣きながらギャーッとおかしなことをするのは「殺し屋1」でしょ。しかもこれら代表作をやる前に、このゴンちゃんを演じ切ったわけで。うーん、すごいわ。濃縮大森南朋な作品。
ベースラインをきっちりやりながら、いい感じで裏切っていってほしいです。毎回、再発見していきたい。やっぱずっとドキドキしたいじゃん?させてよね。