je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「山羊…それって…もしかして…シルビア?」@文学座アトリエ

エドワード・オルビーの作品を文学座で上演。
まったく前知識なく、オルビーだということで、2日前に急きょチケットゲット。今回、そんなんばっかでしたが、面白い作品ばかり見れたので、ラッキー。
マーティン(夫)とスティービー(妻)は、大恋愛の末に結ばれた、いまだ仲の良い夫婦。マーティンは仕事でも成功し、妻もいまだ美しく賢く、彼は彼女を、彼女も彼を、尊敬し愛している。息子・ビリーにゲイの気があり、その点についてのみ多少家庭内に問題はあるようだが、マーティンの人生はこれ以上ないほどの幸せに満ちている。
ある日、友人でテレビディレクターのロスが、自分の番組の収録で、マーティンを取材しやって来る。マーティンの様子がおかしい事に気づき、問い詰めるロス。マーティンは妻以外の女性・シルビアと恋に落ちたと白状する。そして、それは人間ではなく、山羊だと…。
という始まりで、えっとどうしよう〜となりました。どうしようっていうのは、笑っていいのか、シリアスなのか。そして、オルビーなだけに、山羊っていうのはほんとにほんとなの。何かの比喩とかなの。オルビーいうたら、不条理だから、山羊が何か別の問題の隠れ蓑なの、とか色々グルグル。
なーんて、思いながら、あっという間のパワーで最後までぐぐっと見てしまいました。ラストはなんとなく、想像してたのですが。
あーでも、妻の立場としてはそういう行動なんですな。とオルビーにしては(?)腑に落ちるラスト。
それにしても、オルビーは夫婦の会話の妙がうまいわー。真面目で妻思いな夫、賢くほどよく色っぽい妻の会話。というのは、「アットホーム・アットザズー」の夫婦の会話を思い起こさせる。男と女が長い間愛し合い、ともに過ごし、その上での平和な時間の会話というのは、こんな不安定で危ういものなのかな、なんて。
なんだかんだ、結構笑える話ではあったので、ぶはっと笑いがもれてしまったのですが、さすが文学座、演技がしっかりしてるんで、真面目に見ちゃいました。息子役の役者さんが、まだ新劇勉強してまっす!みたいな初々しさで、ぎこちない部分もあったのですが、そこがまた不安定な息子役に功を奏してる感じ。
翻訳については、海外ものを日本でやる時に多少気になるズレみたいなのが感じられてしまいましたが、この作品の場合、ある種デフォルメされた表現の方が合ってるかなーと。ズレっていうのは、例えばビバヒルの変な吹き替えみたいなわざとらしい感じ(「まあ!」とか「さて、諸君」とか口語であんま言わないことを言う)なんですが、新劇という表現には合ってるのかな。
文学座アトリエは初めて行きましたが、落ち着く演劇空間で、すっと世界に入りやすい感じ。普段も使っているからか、芝居の匂いが染みついているというか。
そういえば怒り狂ったスティービーがバンバン石膏の置物を割っていくのですが、あれって毎回割るやつ決まってたのかな〜。楽しそう。