je suis dans la vie

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最近読んだもの・萩尾望都編

萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母(文藝別冊)

萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母(文藝別冊)

日本に帰った時、本屋でうろうろしていたら、はっと目の前に入ってきた。
萩尾望都さんは、私には本当に特別な作家だ。以前にもこのブログに書いたが、7歳くらいの時に、親の友人の家に遊びに行って、暇をもてあましていた私に、「11人いる!」の文庫版をそこの奥様が貸してくれた。子供には難解だったけれど、心に残ってずっと忘れられずにいた。
大人になって、作品を少しずつ買いそろえ、新刊本も必ず買う。
今まで、作家自身の人となりや内情に興味を持つ事は少なかったし、萩尾さんに関してはもう作品を読むだけで満足だったので、新しくこのムック本で知った事が多い。思った通りの人だった、ではなく、神様のような人だと思っていた人の、血と肉を知った。ああ、やっぱりすごいなと思う面もあり、作品の気高さや美しさが、萩尾さんの人間性そのものに通じていると思った。そして、このムック本が、周りにいる素晴らしい人によってつくられたことがひしひしと感じる、そんな1冊。家宝です。
当たり前だけど、親やきょうだいがいるんだ〜と思ってしまった。なんか、そういう部分からかけはなれたとこで見ていたもので。でも、作品を思い返してみると、家族について描いているものは多いし、人間観察やよく出てくるキャラ設定なんかが腑におちる部分もあり。
自分が嫌いな人は描けない、という部分もすごく納得。「残酷な〜」に出てくるグレッグは、少女漫画界最強の最悪男と言っても過言ではないが、何故か本当にきらいにはなれない(いやだけど)。そういうキャラも、愛しつつ描ける、そこが萩尾さんの力量なんだなあ。
思い出を切りぬくとき (河出文庫)

思い出を切りぬくとき (河出文庫)

こちらはエッセイ。面白かったのは、お姉さんの人物描写。ともすれば、家庭内の愚痴になるような内容なんだけど、おもしろおかしく愛情こめて文にしている。作品内に時々出てくる、ちょっと天然でおせっかい気味な自己中おばさんは、気になっていたんだけど、家族をモデルにしてるのかなあ。だから、こっちもグレッグのキャラと同じで、なんだか憎みきれないのかも。
スフィンクス (flowers comicsシリーズここではない・どこか 2)

スフィンクス (flowers comicsシリーズここではない・どこか 2)

カバー画が美しい…。
誰かオイディプススフィンクス、萩尾さん脚色バージョンで舞台化しないかな〜。蜷川さんか野田さんかな。白井さんもありだな!(えらそう)
トーマの心臓」とかは舞台化されてるし、「半神」は名作ですが、また短編の名作を誰か舞台にしてくれないものか…。むしろ、舞台化前提で、何か描いてほしいとすら思う。