je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「パイパー」@シアターコクーン

火星が舞台というのと、松たか子さんと宮沢りえが姉妹役で初共演ていうくらいしか前知識いれずに行ったのだけど、本当に火星が舞台だったことにびっくり(ていうか信じろよ)。
まだまだ公演が続くので、ストーリーの核心には触れませんが、少々ネタバレな部分もありますので、これからご覧になる方はご注意をば。

ダイモス松たか子、姉フォボス宮沢りえ、がとにかく美しいっす。顔とか似てないんだけど、透明感というか、女優としての立ち方が似てるんだなー。女優としての気質というか、肌質というか。身長もあまり変わらないので、並んでると顔だけ違うお人形さんみたい。
りえちゃんの舞台は今まで見るご縁がなかったのですが、独特の存在感の女優さんになったなあと。この日は、風邪なのか、声がかれたのか、とてもハスキーボイスでした。役柄が気が強いお姉さん役なので幸いにして合ってたけど、季節がら体調が心配。楽日までよくなるといいな。
松さんはもう安定感バリバリで。安心して見れますねえ。「SISTERS」の時も、姉妹の話でしたが、あの時はお姉さんで今回は妹。ぽやんとした天然受け身な感じが素にも感じれたのは、実生活も妹だからかな。
松さんとりえちゃんの競演になるかと思っていたのだけど、とても良いハーモニーになっていて、競演でなく共演にきちんとなっていたのもいい芝居になった要因。わざとなのかは分からないけど、話し方やトーンも似ているので、歌も一緒に歌わせたら面白いかなーと。
その父親ワタナベの橋爪さんが、一癖も二癖もある役で面白かった。でも、この人って難しい役者さんだよなあとも思う。うまく料理しないとやり直しがきかなそうな素材。
大倉君もうまいなーと。でかいのに出過ぎないし邪魔にならない(細いから?)
ゆっきーは、もうちょっと彼の役のバックグラウンドがあれば・・・とちょっと思いました。重要なポジションではあるので、楽日までまた出方が変わるのかなあ。

萩尾望都の漫画に火星ネタはよく出てくるので(「スターレッド」とか)、萩尾さんとかぶる部分もなくはない。全体的な雰囲気や、おおまかなテーマやは似ているなと思う。特にカタルシスに持って行く時の大波のような流れは、シンクロした。野田さんは萩尾さんの「半神」を舞台にしてるので、もちろん交流も深いはずだから、お二方でどういう話してたのかなーと気になるところ。SF漫画というと竹宮恵子もいるけど、あれとも違う。やっぱ萩尾さんの常人でははかれない、超越した果てしなく広く時についていけないイマジネーションは野田さんのそれとかなり近いのかも。

ところで、最近宇宙に関係したお仕事をしているので、なんだか不思議な感じ。あ、別に私は事務なお仕事なのだけど、周りで難しい宇宙のお話をされる人が多いので、舞台の話もなんだか現実味がある。いつか本当に火星に住むことが可能になったりしてしまうんだなあ。でも人間が人間でいる限りは、そこから超越することはないのだなー。姉妹と父親が住んでいる「ストア」の状況が、映画の「ミスト」に似てて、怖いのは状況じゃなくて人間。