je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

エドワード・ボンドの『リア』@シアタートラム

水橋研二君出演ということで、研ちゃんファンに混じって行ってきましたわ。
研ちゃんも、ですが、白井晃さんの耽美ワールド大好きなんです。最近ご無沙汰してしまっているけれど。んで串田和美さんのリアって見てみたいぞ〜と。
行く前に、MIOさんとドトールでランチ。ミラノサンドを買って、おまけの白チェブラーシカのステッカーゲット!トート&マグのセットは売り切れだった・・・。すごい人気。その後、美味しいパン屋さんと評判の「濱田屋」に。小さい店で2−3人でいっぱいになってしまうので、しばし外で待つ。パンは後で食べたけど、どれも美味しかった。パンがムチムチなの。モチモチでなくムチムチ。
MIOさんは差し入れのお酒を買いに。渋い酒屋のじーさんにお奨めを聞いたが、あまり気の利いたコメントはなく・・・。でものしに書いてもらった字は激うまでした。職業柄もあると思うけど、ああいうのをさらっと書くのがあの年代はすごいな・・・。
さて、お芝居ですが、三幕もあることが判明。私らはL席(左?)で真横から舞台を観る感じ。
リア王は、お芝居では見たことないのだけど、話は知ってるので、どんな脚色かな〜と思ってたら、しょっぱなから血みどろです。あれ?もっとハートウオーミングな話じゃなかったっけ…。でもウイリアムシェークスピア)君のホンだからね…。そーだよね。客席に某新婚演出家の姿があったので、彼が好きそうな感じ。
1幕はががーっと悲劇と血で血を洗う骨肉の争いが続き、2幕、3幕とリアは弱っていき、2幕ではひ〜という痛そうな描写もあり。ラストは銀ちゃんばりの階段落ちみたいなのもありました(そこまでじゃないけど)。串田さん若く見えるけど、うちの親と変わらない年なんですよね。なのにあんな高さのとっからうまく転げ落ちるよ(白井さん、ひどいわ〜、とちょっと思う)。怪我などないよう…。
原作の心やさしい3女は、王女としてではなく、研ちゃん演じる墓掘りの息子の妻として出てくる。むしろリアに心酔する心の美しい研ちゃん演じる青年の方が、精神的にはコーディリアの役割なのか、リアとのからみ多し。最後は「抱いて!」まで言ってますからね。いや、直截的な意味でなく、抱きしめての意なんですけど、もう研ちゃんの小悪魔っぷりったら。女優三人の悪女っぷりも一瞬かすむわ。
緒川たまきさんのコーディリア、久世星佳さん&村岡希美さんのボディスとフォンタネル(シェイクスピアだと長女ゴネリルと次女リーガン)も、女の情念たっぷりで、こわいこわい。それだけに研ちゃんの妖精っぷりがまた引き立つと(しつこく言ってみた)。
萩尾望都さんの作品に「偽王」というのがあり、リアの狂気、荒れ地をさまよう姿が重なる。リア王は悲劇の中でも心惹かれる作品なのだけど、親子関係が分かりやすいからだと思っていたが、多分にリアの狂気の部分が好きなのかもと思う。愚王としてはマクベスもあり、他の作品でも勘違いや身勝手な欲望で破滅していく様が面白いのであるけれど、リアにはいわゆる「お父さんの悲哀」がある。わかっちゃいるけどね、娘が止めてるけどね、やめられない。自分の馬鹿さ加減が分かっていながら生きている。運命に流される、というよりは、ただ日常に流されているのだけとのゆるさ。そんな日常的な狂気。そんなリアを串田さんがステキかわいく演じていた。参った。
終わった後、近所のコーヒー屋さんに入ったら、後から件の某新婚演出家がやってきてビビる。そしてもっと後に串田さんも合流した模様。打ち上げ前に待ち合わせだったのかしらん。