je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「さらば八月のうた」@紀伊国屋ホール

14日に旦那ちゃんは先に広州へ戻り、この日から私は実家でしばしの独身生活。
早速、観劇に行ってきました〜。
劇団M.O.Pの最後の公演。
ここのお芝居を見たのは、前回の「リボルバー」が最初。客演の北村君目当てで。それがこれまたすっげい芝居で、一発でファンになっちゃんたんだけど、すでに解散宣言後で、ラスト三作の二作目だった。あーもっと見たかったよう!と後悔先に立たずとはこういう時に使うのね…と思ったもの。
広州転勤になったので、最終公演は見られないかと思っていたら、ちょうど夏休みに公演があってほんと良かった。
なんといってもマキノノゾミさんの脚本がいい。基本的に明るい話で、エンターテイメントで、人間が優しくて暖かく描かれる。
楽しいけどコメディ色が強いわけでもないし、破天荒なテーマを扱ってるわけでもないし、メッセージもそんなに強くない。なんていうかものすごくまっとうな芝居。でも言葉が聞いていて楽しい。芝居とは嘘の話で、でもその嘘の中で本当が描かれるものだけど、書いてる人が本物だと、強い色がなくても、言葉が生き生きとしてくるんだと思う。
登場人物は圧倒的にいい人ばかりで、でもそこに嘘くささを感じたことが無い。他の芝居で悪人が出ない芝居や、実はいい人でしたなんて展開にはある種の歪みがあって、私はちょっとむずがゆくなる時がある。マキノさんのにはそれがない。書きようによっては重くなるシチュエーションや、どんよりしそうな部分も、独特のリズムに乗せて楽しくさえしてしまう。
芝居を見てると、性善説性悪説かというのを考えるけれど、マキノさんは多分(というかきっと)ものすごく性善説の人だなあと思う。そんで、そこに宗教性や、押しつけがましい感じはなくて、人間って生きてるといろんなことあるけど、生きてるっていいよね、って思わせてくれる。
さて、話の内容はと言うと、親子三代に渡る、ある歌を巡っての人間模様。マキノさんは伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」にヒントを得たそうな。そのせいか構成は現代から始まり、主人公の祖母の時代、父親の時代、そしてまた現代とコロコロシーンが変わっていく。ちょっと頭を使う展開だったけど、それぞれの人生模様が面白く、最後にシュッとまとめる。そこも力技じゃなくて、バラバラのパズルが一つの絵になる感じ。
相変わらず小市慢太郎さん、ステキでした〜!なんで私が小市さんに惚れたかの下りは、知っている人は知ってるのでもう書きませんが、相変わらずの怪しげ笑顔に萌え!そして声がステキ。それでラジオのDJなんて適役すぎるぜ!あの声で今回はプロポーズシーンがあったので、「マキノさんありがとうっ」と心の中で叫んでおりましたよ。あやうく萌え死にしそうに。
M.O.P.のミューズ、キムラ緑子さんも、本当にキラキラしてた。大好きな女優さん。いつも、姉御肌で、粋で、ちょっと苦難の人生を悲しくも力強く歩む女性の役が似合うのですが、まさに〜という役どころ。今回は小市さんと結ばれてやっと幸せにという、素敵なエンディング(芝居の上でね)があったので、マキノさんのキムラさんへの深い愛を感じてしまいました。マキノさんとキムラさんの二人のコンビを芝居で見ることも少なくなるのかなあ…と思うと残念ですが、いつの日かまた。
客演の多いM.O.P.でしたが、ラスト公演は劇団員のみでということもあってか、ものすごくチームワークの妙を感じました。初日の2週間前までホンがあがってなかったとは思えない。カーテンコールで恒例の、出演者全員での楽器演奏も、もうただ楽しそうで、ほんと解散しちゃうとは思えない明るさ。
客演ないかわりに、日替わりゲストが。この日はじてキンの久松信美さん。ラジオ番組の話から始まるので、開演前の30分、場内にマキノさんのラジオ番組にと久松さんが来たという設定で、2人の生トークが流れる。そして芝居へつながるという粋な展開。トークはホンにないので、まったりと素の思い出話。その後、芝居のラストに、キムラさんが名付け親になった青年という役どころで出て来たんだけど、「25歳になりました!」というセリフと若々しい衣装にキムラさんがウケすぎて、芝居がわちゃくちゃに。カーテンコールではマキノさんに「大きい声だしゃいいと思ってるだろ!」とつっこまれて、いじられるほほえましさ。
この日、お客さんで岡本健一さんが来てて、あまりの美しさに本人なのかとガン見しちゃったよ。同じく来ていたケラさんと話してるのを見かけて、ああほんもののなんだあと思った。顔めっちゃ小さい〜。
あと、佐々木蔵之介さんも来てて、物販にいた小市さんに話しかけてて、私的にはたまらないツーショットでした。ただ、私は小市さんからパンフを買いたくて(M.O.P.は公演後に出演者が物販する)待ってたんだけど、佐々木さんが財布を出すのに手間取って、すごく待った…。佐々木さん、ある意味、期待を裏切らないね。お釣りを握りしめてそそくさと帰っていく姿もばっちし見ましたよ。
そして小市さんからパンフを買い、握手してもらいました。わーい。