鷺沢さん、
今年も春がやってきました。
あっという間に桜が咲いて、さらさらと散っていきました。
桜を見るとあなたを思い出します。
でも何故か、遠出をして見た桜ではなくて、私のアパートの近所に咲く、老齢の桜の樹で思い出すのです。
私はその1本の桜の樹に、時々「おかえり」とか、「今年もよろしく」とか言っています。
そして、私があなたのことを思い出すのは、散るときよりも、咲き初めなんです。
何故なんでしょうね。
満開になった時は、懐かしい思いにさせられます。
最近は忙しくて、日々がただ流れていきます。
あやうく今日という日も忘れそうになってしまいました。
今も仕事しながら、早足で、毎年恒例になった、この届かない手紙を書いています。
いいことなのか、悪いことなのか分からないけれど。
今年の桜の季節はあっという間でした。
うちの近所の、その老齢の桜は、あっという間に半分以上葉桜になってしまいました。
「また来年もよろしく」と、私は帰り道で言うでしょう。
まだ、あなたを忘れたくありません。
いいですよね。
そうそう、22日に、あなたの書いたお芝居を見に行きます。
今度はあまり泣かずに、ひとつひとつ、あなたの言葉を抱きしめにいきます。
今でもあなたが大好きなファンより
