井上ひさしさんが亡くなられたとのこと。
ご病気のことは報道されていたので、驚きはなかったですが、本当に残念です。
この数年、井上さんの芝居を何度か見に行く機会があり、何度もその素晴らしさに心揺さぶられました。2年くらい前に見た芝居が井上さんのホンだったのですが、その時ちらりとお姿を見た時には元気そうだったけれど。
井上さんのホンは、根柢のテーマに反戦があったり深いものが多いけれど、それなのに見た後にずーんと重くなるのではなく、胸にたくさん色んなものがつまって、帰り道はいつも楽しかったなあと思う、そんな単純だけど、大きくて幅の広い言葉たちばかりだった。
遅筆で有名で、こまつ座での新作は初日を予定通り迎えられることも少なくなく。それでも年輩のファンが客席で「でも、いいもん見せてくれんでしょ？」っていう顔でワクワクしながら座ってるのを見たとき、演劇ってこういうもんだよなあ、って。始まる前は期待でいっぱいで、始まったら楽しくて楽しくて、芝居やる側も見る側も、毎回ガチンコで。
同じ季節に亡くなった鷺沢萠さんのことも、この季節に思い出す。いつもは葉桜を見て、ああまたこの季節が来たなあって、想いをはせるけれど、今年は曇り空の中国でちょっと雰囲気ないけど。忘れないでいたいと思います。
楽しい芝居を、素敵な言葉を、大きく包むような激情をありがとうございました。
