- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (61件) を見る
名作「とかげ」のリメイク。元も大好きだが、これも本当によかった。
主人公ととかげのバックグラウンドがかなり細かくなり、掘り下げてある。元の持つ、癒しのパワーや、誰かを純粋に愛する気持ち、プリミティブな感情、それらがくっきりと、シンプルに描かれている。
とかげのような気持ちや、主人公の気持ちや、ものすごくシンクロしてしまった。どうしても取り戻せないものがあり、できることならそんな経験はしたくなかった、と後悔し、自分を責めてしまう人にぜひ読んで欲しい。誰もが幸せになっていいのだ。それは傲慢なことではないのだ。
私は、事故に合ったとき、一番つらかったのは、成田空港に迎えに来てくれた父の泣きそうな顔を見たときだった。二度の手術より、長いリハビリより、たくさん失った事柄よりも、あれが本当につらかった。できるなら、二度とあんな哀しい思いにはなりたくない。だから今がんばっていられるのだと思う。つらい時も、哀しい時も、あの父の顔を思い出すようにしている。
走り過ぎないように、転げてしまわないように。私には泣かせてはいけない人がいる。それを思い出させてくれた。