je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

Syrup16g presents “UP TO THE WORLD #2”@SHIBUYA-AX(1日目)

久しぶりのシロップ。前回の#1はチケット取れなくて逃した。そして、今回は久々のワンマン。
会場に入ると、待ちわびたファンの空気でいっぱいだった。男の子も多い。MAROON5がかかっていたけれど、なんだか余計に焦らされた気分。
淡い紅いライトが、胎動のようにぼんやりとステージを照らす。メンバーが入ってくると、拍手が沸き起こった。「拍手って飛べない鳥の羽ばたきのよう」という、好きな漫画の台詞があるけれど、空に飛ぶように、メンバーを包み込んで、それらは出迎える。
1曲目の「Everything is wonderful」で、あっという間にいつものシロップの世界につれていかれた。ふわっと持ち上げられるような、そしてかすかに膜がかかった世界。
けれど、2曲目「リアル」ときて、「天才」と立て続けに、珍しく爆発が早い。一瞬にしての変化に、なんとかついていく。
おそらくそうだろうな、とは思ったけれど、今度出る2枚組ベストアルバムの「動脈」のイメージに合わせたステージング。紅いライトは赤い血の色。
久々に聞く「無効の日」や、「負け犬」。動のイメージでありながらも、本来のシロップの落ち着いた、陰の世界もそのままに。
五十嵐は思ったより元気そうだった。声は安定していなかったけれど、バンドの音は幾度も練習を重ねたであろうと思われる。つなぎ方や、リズム体のぶれのなさは以前と変わらず。昔からやっている曲でありながら、惰性の感じがなかった。AXはバランスが悪いので、あまり期待していなかったが、この日はドラムの音が硬い上、ギターばかり聞こえたので、ベースのからみ具合がいまいち聞こえなかった。それでもそれぞれが落ち着いて互いの音を聞きながら「合わせている」のがいつもより感じられた。サポートギターが入っていたので、音は厚くなっていたけれど、その割に五十嵐のあそびの部分や、他を引っ張る爆発がなかった。でも、それだけ大人になった、ようにも思った。
紅いライトが終始、私の手首や腕を照らすのを見た。血が脈打つのが見えるようで、怖かった。
アンコールの「汚れたいだけ」。五十嵐は、いつも見たくないようなものを見せる。でも、すごくきれいだ。なんていえばいいんだろう。いつもそう思う。でも、分からないから、五十嵐は歌っている。私は、その日、不在の神に祈ってしまった。この人に、歌う場所を与えてください、と。
アンコールの後に帰ってしまったので、五十嵐の弾き語りは聞けなかったが、それはそれで完成度の高いものを見れてよかった。シロップの世界は完成されないままがいいところであるけれど、他のバンドにあるような「おまけ」はあまり私はいらないように思う。なんだか演歌ショーみたいにも思うし。
この日の五十嵐のMCはかなり弾んでいた。MCまでアルバムイメージ?ちょっと拍子抜けした部分もあるけれど、大樹が「俺は二人(五十嵐とキタダさん)に誕生日おめでとうってメールしたのに、俺の誕生日には二人とも何もなかった」というぼやきに、「ごめんね?」という五十嵐の漫才のような絶妙の呼吸の返しまであって、MCまでリハしたんじゃないかと思ってしまった。