je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「丹下左膳」@新橋演舞場(2004/12/24)

演劇というのは娯楽なんだよね。
ここ何年かの獅童さんは本当に凄い。めちゃめちゃ光っている。
速い、大きい、濃い。
もともとのスター性、というのではなく、かといって叩き上げの努力の人、というイメージでもない。この人は、自分なりの美学があって、それに沿って歩んできたんだろう。それは「現代的な新しい」というのではなく、昔から芸の道を歩む人の根底にあったもんじゃなかろうか。今はコンビニ的な芸や作品が多く、なんでも使い捨て。昔だって手に取りやすいものが愛された。でも、今は愛される間もないくらいの速さで浪費される。作る側も、それに迎合してるように思う。獅童さんがそういう風潮に「ちょっとまてやコラ」と思ってるかどうかは分からないけど、でも、絶対対極にいるとは思う。
オープニングで「丹下左膳」の昔の映像を流し、そこからスクリーンを破って出てくる獅童左膳。ステージのまん中で決めのポーズ、じりじりと間合いを詰めるチャンバラシーン。ひとつたりとも、光を放たない瞬間はなかった。そして、ロックだなあ、とも思った。片手片目のヒーローはめちゃアウトローで、ロックンロール。共演者も観客も、すべて巻き込んで、そして包み込んでしまう。
クライマックスのチャンバラでは、獅童さんから汗が洪水のように流れてた。一列目だったので、これって人間の流す汗じゃないよ!とか恐ろしくなるくらい。でも、すごく楽しそうで、見てるこっちがウキウキした。
話はなんてことないんだけど、左膳を中心にしたキャラの濃い人間模様。こ難しい芝居も好きだけど、笑いながら見られる、人肌を感じるような芝居も悪くない。

  • 共演者の方々のことなどをつらつらと

麿赤兒さんは相変わらずの異端ぶり。バカ殿を操る(?)謎の老人を怪演、もとい快演。舌をベローンと出して変な顔してる時は、普通にすげえと思った。この人が大森南朋さんのパパなのね...としみじみ思いながら、手を合わせたくなったりして(なんかちがう)。腰をずっと曲げた状態なんで、つらくないのかな〜とか思ったんだけど、動きが他の人たちと違ってヌメヌメしてて、やっぱ舞踏家だからあれも一つの踊りの型なんだろうなあ。カーテンコールでは腰が真直ぐだった、当たり前だけど、またすげえと思った。
バカ殿役の長谷川朝晴くんははまってたなあ。麿さんに臆する事なく、ピント外れの殿様をコミカルにらしく演じてた。なかなか存在感有り。

  • 日替わりゲスト

そして、なんで、イブの夜に、しかも会社を早退してまで見に行ったかというと、この日の日替わりゲストが、北村有起哉くんだったからなのさ。わーい。しょっぱなの「道場やぶりをされる情けない道場主の役」っていうのは知っていたんだけど、包帯ぐるぐる巻きのミイラ男みたいだったんで「え?これって有起哉くん???」って思ってる間に出番終了。手足が長いのでそうかな〜とは思ったんだけどさ。梅毒持ちっていう設定だったようで。獅童左膳にお菓子を手で食べさせて「手洗ったのかよ〜」とか左膳に言われたり。その辺はアドリブっぽい。で、いつまでも左膳の名前を聞かないので、まったりと進む。やっと聞いたら「やっと聞いてくれたか」って獅童左膳に苦笑されるし。なかなかその呼吸は面白かった。
あと、休憩時間に会場をウロウロしてたら、有起哉くんは後ろの方の席で観劇していてびっくり。足長い...。関係者の方と御一緒だったようなので、遠目にちらっと見てしまった(すいません)。
カーテンコールにも参加。茶のコーデュロイジャケットに、ジーンズ、緑のブーツ。深々とお辞儀。お疲れ様です。