je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

鷺沢萠プロデュース Vol.3 「ウェルカム・ホーム!」@ウッディシアター中目黒

なるべく頭をクリアにして見たつもりだった。
それでも、科白のはしばしに、鷺沢さんがいるのが分かって、もう考えるより先に熱くなってしまった。安志の「隠せよ!なんで隠さないんだよ!」、主人公の映子の「家族が欲しかったの!」という叫びは、痛く痛く、私の心をむき出しにさせるに充分だった。号泣した。芝居が見られなくなった。声を押し殺しても、本人の与り知らぬところで涙は流れる。いつもこうやって、鷺沢さんは私を泣かせてくれた。気持ちイイくらいに。心をさらけだすことを、優しく受け止めてくれた。「おかえりなさい」って。

恥ずかしくていいじゃん?
一生懸命で何がいけないの?
不格好でも、ここにいるんだよ、生きてるんだよ。
かっこつけてちょっと冷静に、コンサバにそれなりに見栄えよく生きても、自分はやっぱりそんなに器用じゃない。気がついてがく然とする。忘れてるふりのうまくなった時も、違うじゃん、そんなんじゃないじゃん?って立ち止まって。それ以上もう動けなくなって。
そういう時に鷺沢さんはいたよ。
この舞台を見た時も、いたんだって思う。

ドリカムの「眼鏡越しの空」をモチーフにした同タイトルの作品を思い出す。遺作となった「ビューティフル・ネーム」の最初の作品でもあるそれは、年上の女性への憧れを描いていた。

あなたのようになれたらと 憧れる
その想いが ちからをくれる

自分の気持ちは、この歌詞のまんまだった。あなたは憧れの人だった。大好きだった。何度も救われた。それを伝えたかった。そんなの勝手で、何もならないのは分かってるけど。バカみたいだけど、書きながら泣いてしまう。これからもあなたを思い出す度に泣くだろう。あなたの本を読む度泣くだろう。
そして、ありがとう、と。届かないけど、ありがとう、そう唱えるように思い続ける。