je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

渡辺美里と岡村靖幸

卒論のテーマでした。嘘です。
今、id:miimiさんのとこで「岡村ちゃんに歌ってほしい美里にあげた曲」というスバラシイ企画が開催中です。あー、ていうか、全部歌ってほしい。岡村ちゃんがどんな風にアレンジし直すのか。そして、美里の超剛速球愛の歌詞をどうやって歌うのか。すごく音楽に対して真摯な人だから、人の歌詞も大事に歌ってくれそうな気がするのです。
岡村ちゃんとみさっちゃんは、ほぼ同時期にEpicに入って、年齢も一つ違い、キャリアも 同じ、所謂「同期の桜」。アルバムのスタッフはほぼ一緒(プロデューサー、カメラマン、デザイナーなど)。今では美里の良きプロデューサーとなった有賀さんは、初期に二人のアルバムでベース担当だった。周りのメンツが一緒だから、音とかも似てくるのは当然なんだけど、実際、お互いに刺激し合ったとも思う。岡村ちゃんがみさっちゃんの作詞を参考にしているらしいという「噂」も聞いたし、みさっちゃんの歌い方が岡村ちゃんちっくなのもある(たぶんデモテの岡村ちゃんの歌を聞いてそうなったんだと思うけど)。
当時、みさっちゃんが特別に岡村ちゃんに言及していたことはあまりなかった。曲について「岡村君は私の音域ギリギリの曲とかも持ってくる(ので面白い)」みたいなことを言ってたことはあった。Epicの屋台骨、姫君であったみさっちゃんと、愛とエロスの貴公子として売り出した岡村ちゃんが同じエリアで語られること自体、難しかったのかもしれない。でも、二人の音楽は目指すところは同じだと思うし、リスペクトはあったと思う。一番、美里の岡村ちゃんへのリスペクトを感じたのは、アルバム「BIG WAVE」の中の一曲、「ジャングルチャイルド」。岡村ちゃんは作曲はもちろん、コーラスで参加してるが、ほぼ「デュエット」状態。岡村ちゃんファンの子に「あれは(美里的には)いいの?」と心配された記憶がある。多分、あまり「岡村風味」が出ていたので。確かに、みさっちゃんがあそこまで他人の声をフィーチャーしたのは、あまりないと思う。コーラスはあくまでコーラス。自分の声でコーラスを入れるときも、わりとそういうスタンスのみさっちゃんが、岡村ちゃんの声だけは「岡村ちゃん」として入れている。それが面白いからというのもあるけれど、それだけ信頼もあったと思う。そして、岡村ちゃんが他の人の詞を歌うこと、これもリスペクトなしには考えづらい。
ただ残念なことに、そのアルバム以降、二人のコラボはなくなってしまった。それ以後のアルバムに、「岡村ちゃん風」な曲はあったけれど、やっぱり岡村ちゃんではない。みさっちゃんは新たな世界を広げたけれど、正直さみしい気持ちがあった。なんていうか、いきつけの店の名物料理がなくなったような。
岡村ちゃんもいろんなことがあって、いろんな人に曲をあげたり、プロデュースしたけど、美里以上の表現者に出会えたかしら?なんて思ってしまう。
そんな二人が同じ時代に同じ場所にいて、素晴らしい曲をつくったこと、これは奇跡だと思う。音楽の神がいるなら、それは確かにあの頃Epicにいたのだ。そして、二人は「音楽としての20世紀最後の恋」を実現してしまった・・・なんて言い過ぎかな。
みさっちゃんはあれからいろんな歌をうたい、今でもEpicで頑張っていて、昔の曲も丁寧 にだいじに、まるでワインのように時間をかけて美味しくした。岡村ちゃんは、休んだり復活したり、違う場所で大事な歌をうたっている。
願わくば、もう一度、二人の新しい共作を聴きたい。そして、西武ドームで「ジャングルチャイルド」を二人で歌ってほしい。私の決してささやかでない、果てなき夢。叶わなくてもかまわない。私は二人がだいすきなのだから。