je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「ブラッド・ダイヤモンド」

久々のレオ様。最近は大作やら、エンターテイメント性の高い作品が多く、なんとなーく見てなかったのだけど、アカデミー主演男優賞にノミネートされたというのと、作品自体かなり面白そうだったので、見に行くことに。
しょっぱなから、がんがん人が殺されます。それはもう虫けらのように。これが奴隷制の時代ではなくて、現代なんだよねー。しかも白人じゃなくて、黒人同士でっていうのがもううわーって感じで。昔、子供のころに「ルーツ」を見て、子供ながらにものすごい不快感(作品にではなくて、その描かれている状況について)を感じたのが蘇った。内乱も戦争も、いつの時代もあって、いまさらなんなんですけど。なんか生まれた場所が違うだけで、どうしてこうなっちゃうんだよー?って思う。
レオ様演じるアーチャーは、白人なんだけど、アフリカ生まれの傭兵あがりのダイヤの密売人という、これまたすごいバックグラウンド。アフリカにはアパルトヘイト後に「プア・ホワイト」という、貧しい白人がいる、というのは北村君がやった芝居の「ハローアンドグッドバイ」で知ったけど、アーチャーもそういう人なんだろうな。でも、彼はお金のために傭兵になって、生き延びて、お金を稼いでなんとかこの国を抜け出したいと思っている。
アーチャーは主役とはいえ、すっごい悪い奴だし、同情するような要素もないし、ヒーローでもないんだけど、生命力の強さを持った魅力的な人間として描かれている。でも、彼が、革命軍に拉致された子供たちを保護している黒人の牧師に「性善説を信じるか」と問われて、「いいや、人間は人間だ」って答えるとこは、ああもうその通りだと思った。彼は、肌の色も、人種も、善悪も、もうすべて見て、それでも生きてきた。見たくないものも見て、何にも希望なんかないのに。
レオ様がその演技において評価されるのは、テクニカルな面もあるけれど、こういう複雑な役を難なくさらっとできてしまうとこだ。努力したんですよー、一生懸命演技してますよー、感がない。(だから賞を取れないのかもしれないが・・・)
内容はヘビーだし、デートには向いてないかもしれないが、緩急ありつつ息つかせる暇なく、集中して見れる。戦闘シーンのリアルさ、アフリカの自然の美しさは、一見の価値あり。そして、アフリカの現地の俳優たちのパワーも新鮮だった。アーチャーと運命を共にするソロモンの純朴な思い、学のないただの漁師の彼の言葉がチリチリと残り、闇を照らす。
ジェニファー・コネリー演じるジャーナリストも、セクシーに、でもただの紅一点にならずに描かれて、とにかくひとりひとりが魅力的。
終わった後は、ダイヤなんか欲しくなくなります。ダイヤが欲しい〜なんて言ってる奴を見たらかなりムカつくこと間違いなし。(そういう意味で言うと、カップルで見る映画じゃないんだよな・・・ほんとに)