je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「エレジー」(ネタバレあり)

自由人の大学教授デイヴィッド(ベン・キングスレー)と、美しい教え子コンスエラ。年齢差30歳の切ない恋物語
最初は遊びのつもりだったデイヴィッドが段々と本気になり、嫉妬や妄想に苦しむ前半。デイヴィッドのモノローグと友人の詩人ジョージとの会話などが多く、コンスエラとの会話が少ない。少ないだけに男の側の焦りが際立つ。この監督の独特の微妙に揺れるカメラワークと、映像の美しさが、前半のシンプルな恋の話をちょっと違ったように見せる。
しかし、何よりコンスエラ役のぺネロぺちゃんがかわいいのが一番効いてる!
一応就職してから大学に入ったという設定なのだけど、ぺネロぺちゃんが学生って難しくねー?と思っていたのですが、いやもうかわいいのかわいくないのって。最初のおかっぱ・パッツン前髪の初々しいこと。それから大人な雰囲気へに変わっていく妖艶さ。基本はキュートなイメージが変わらないから、美人なだけの女優さんより振り幅があるのかな。瞳はくりくりして人懐っこい表情を生み出して、あっけらかんとしながらもほどよい湿度を感じさせる。スペインの秘宝だね(秘密でもないけど)!
話の内容は、Happy ever after...では映画にならないので、やはりというか年齢差に男の方が不安になってうまくいかないわけですよ。女はあんまり
気にしてなくて、「なんでクリスマスも感謝祭にも来てくれなかったの?」「家族に紹介したいの」と駄々をこねてみる。男の方は相手の親やら友人に会って「こんなじじいが恋人??」と思われるのが恥ずかしかったりする。(ところで、だいたい「感謝祭」ネタってアメリカの映画やドラマにしょっちゅう出てきますが、家族の大事な行事って比重が高いのだろうな)
結局、二人の未来が見えない、というとこに男は不安を感じてるわけですが、これ、私にもちょっと覚えがあるのでねー、気持ちは分かる。でも結局、年がいくつだろうと、誰が相手でも先なんて見えないものだと分かって受け止めればいいだけなんだけどね。デイヴィッドは年齢を理由に不安になってるけど、その不安はそもそも「失いたくないものを手に入れる不安」なんだということを気が付いてないのだ。
で、二人は結局別れちゃうのだけど、もちろんそれで終わりにもならない。映画だから。
で、どうなるか途中で予想してみました。
「女が突然戻ってきて、傍らには彼との子供が」か「再会するも、女が不治の病にかかっていた」の2パターン。
そしたらやはり後者だった。男が死に近いと意識している年齢であるが故の、恋の始まりと破たんだったのに、若くて元気なはずの女が先に逝く。なんとも皮肉なストーリー展開なのだけど、ただのロマンチックな悲恋ものに落ち着いてないポイント部分だと思う。話だけ似てるなら「オータムインニューヨーク」とかあるし。
デイヴィッドが大学教授のインテリという設定なので、彼女を口説くときに絵画、ピアノ、文学を使うとこやら、台詞の英語がきれいだった。面白いと思うような内容ではないのだけど、ジョージがデイヴィッドに「俺はずっとお前の聞き役だった」っていうとこが、英語だと「俺はハムレットのホレイショ役をずっとやってきたんだぜ」って言ってたり。原作ではより文学的な表現が多いのかも。
全然関係ないのだが、ベン・キングスレー麿赤児さんに見えてしかたがなかった…。スキンヘッドだけでなく、大人の男の色気みたいなとこも。