je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「4分間のピアニスト」@シネスイッチ銀座

<あらすじ>
80歳になるトラウデ(モニカ・ブライブトロイ)は、60年以上女子刑務所でピアノを教えている。彼女は何年も貯金して新しいピアノを購入するが運送に失敗し、その責任を追及される。早急に彼女のピアノレッスンを受ける生徒を探す必要に迫られたトラウデは、刑務所内でジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルング)という逸材と出会う。

話はシンプルで、分かりやすいのだけど、ジェニーがとにかく攻撃的でおっそろしいので、この子最後はどーなっちゃうのー!という、何気にサスペンスな雰囲気。
しかも、最後の4分間の演奏についてかなり話題になってるのだけど、ネタバレ禁止だったので、何が起こるんだろう…、とそればかり気になってしまった。
話の筋は面白いんだから、あまりそういう風に「最後に何かが起こる」みたいな宣伝ってどうなのかなあ、と思った。確かに衝撃的なラストではあるんだけど、人が死ぬわけでも、事件があるわけでもなくて。
カタルシスを効果的にするために必要なのは、それまでの話のテンションの積み重ねであって、ワンアイディアの衝撃では結局小手先でしかない。
ただ、その宣伝がなかった場合、ちょっと地味な作品になっていたかも。ジェニーとトラウデの二人の女性の生き方が交錯する、良いヒューマンドラマではあるのだけど。
男性で「主人公に共感できない」という感想があったのだけど、これは女の生き方探しのドラマなので、「とりあえず飯食うためには働かなきゃいけないし。自分探しとかできるの某サッカー選手は別世界」という堅実な日本男性には「なんのこっちゃ」と思われても仕方ないであろう。
私はといえば、映画としては面白かったけど、今はジェニーのようには激しくなれないな。ジェニーだって、ピアノが弾きたくて弾いてるというよりは、弾かなければやっていけない精神状況だったわけだし。もし、彼女が犯罪に巻き込まれなくて、子供を無事に育てていたら、あんな演奏はできないのだから。
ジェニー役のハンナー・ヘルツシュプルングの演技は秀逸。パンフのインタビューでは可愛らしい女の子だったので、余計に映画との差にびっくり。風呂入る時や、寝る時のシーンまで化粧ばっちりの日本の女優にはありえないわなー、と妙に感心したり。