je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「21g」@渋谷(2004/7/3)

ほんと、役者がいい映画って落ち着いて見られる。ショーン・ペンは昔のあやうい感じが好きだったけど、いい感じで老成してる。ナオミ・ワッツは基礎が出来てるんだろうなと思わせる安定感。難を言えば、二人とも巧すぎて、もうちょっとハラハラするような部分が欲しいなというのはこちらのわがまま。
そこへいくと、ベニシオ・デル・トロ様の何か神がかったような気味悪さはゾクゾクする。友人がトロちゃんと騒いでいて、改めて作品を見直していたら心臓つかまれましたよ。今ではトロちゃまのとりこ。「プレッジ」なんかちょっとだけの出演だけど、すげえきたもん。今回も役柄が「いっちゃってる」んだけど、そこをセクシーさ交えてギリギリの気持ち悪さができるっていうのは、巧さとは別に天性の魅力。娘のほっぺにキスしたシーンなんて、いやらしくてマイッタ。あれは娘にするキスじゃないよ。
内容は重いんだけど、輪廻転生というか、運命というか、この監督独特の世界観で、見ていて「そうだよなあ、人間って生きるってめんどくせえもんだよなあ」と私は思ってしまった。でも「そんなことが言いたくて、二酸化炭素吐いてんじゃねえよ(C/syrup16g)」とはこの登場人物には言えないのであった。みんな勝手なんだけど、部分的に共感するというか。旦那と娘を失ったナオミ・ワッツ演じるクリスティーナが「それでも人生は続く.」と父親に慰められ、「そんなことはありえない。終わったのよ。」というような事を言った時は、自分もそうだなと思った。年を取るにつれ、失うものが出てきて(もしくは失う可能性におびえ始めて)からは、人生は続く、でも大事なものを失うたび、私の世界は終わっていくのだ、と感じている。「地獄はここの中だよ」ってトロちゃんが頭を指してたのもドキッとした。