je suis dans la vie

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『新・雨月物語』 演劇企画集団THE・ガジラ 20周年記念公演@世田谷パブリックシアター

雪の日ですが、夏の夜の話。
そもそも雨月物語自体よく分からなかったので、「羅生門みたいなもんかな。ていうか羅生門もよく分かってないけど」と思い、あまり考えず鑑賞。
実際、夢が夢に重なって永遠のループ!でがんばって見ていないと話においつけないかな〜と途中思ってましたが、ちゃんとオチがあったり、説教くさくない倫理観みたいなのもあって、難しいけど見ごたえがありました。人間って浅ましい、生きるって浅ましい。死んでも成仏できないと、もっと醜くなっちゃう。土に還らないとね!そしてその土もリサイクル!(あれ?)
とにかく演出がうまいわ、と。
あんまり演出が上手とは思わったりしないのですが(個性があって然るべきものなので、うまいというより面白い演出と思う事が多い)、これに限っては久々に「うまいな〜」と思いました。気になってはいた演出家なので、やっと見られて良かったです。
演技もひとつひとつきちんとつけてるんだろうな(←当たり前だ)とか、言葉や立ち位置や所作に至る、髪一筋までのきっちり感、完成度。ぼんやりした照明に、暗がりの中の火とか、一つ間違えたら眠くなりそうなステージなのに、最初から最後までの緊張感に圧倒されっぱなし。
演出家を信じてどーんと地に足つけて、堂々と演じてるのが感じられる。
台詞も説明くさい長い台詞が無く、すっきり。でも間合いは長く感じない。すべてにおいて無駄が無い。静謐な舞台。
北村君は、欲望だらけの俗っぽい弟役を、獣のように熱演。ところで、北村君のふんどし姿って、何か他でも見たなあ・・・。ああいうのが似合うからさせられてるわけではない・・・と思いたい。。基本フリーなスタンスだから、演出家やチームによって変わる部分があって、遊び心が生かされる役者さんかな、と思うけど、こういう基本はしっかりなスタンダードな演劇でも、言われた事は全部やっちゃう人だから、意外と能力を発揮してる。それと、一茶のあたりでも思ったけど、時代物もとても似合うので、チャンバラものをやってほしいっす。
パンフの出演者紹介がアンケート形式になってたのですが、「長生きしそうな出演者は?」に、ほとんどの人が「若松武史さん」と答えてたのだけど、見たら納得・・・。妖怪っぽいもん。ネタバレする前から、絶対この人生きてない!妖怪だよ!ゆっきー血を吸われちゃうー、逃げろ!と思っていました。
宮木(桂木)役の月影瞳さんが、きれいで、こちらも人間でない感じがまた・・・。若松さんと並ぶとぞぞっとする空気。
立ち回りも多かったのだけど、北村君のブログで「ステージは鉄板」って書いてあったなあ・・・。痛そう。北村君、最近暴れまわる舞台が多いので、怪我には気をつけてほしいです。心なしか、最近たくましくなった気が。
終わった後は、たまたま隣席になったkai嬢とデチェコのパスタを買いだめし、豆まきの豆を買い、仕事帰りのMIOちゃんと合流。お茶しながら、シロップ解散についてグチグチと(すいません)。今だけ(多分)なので、許せ、友よ。
呑みへ行く人たちと別れ、私は帰路へ。久しぶりに世田谷線に。意外と便利かも。
駅でだんなさんと待ち合わせ、夕ごはん。なんとなく「週末だけ田舎生活いいよね」と与太話を振ったら、「山がいい」というだんなさんに、「山はいやだ、海がいい」などと話す。確かに私、山は昔からあまり好きでないのだが(土とか木とかちょっと苦手)、まあ思うに、この日の芝居が山で妖怪に騙される(むしろ呪われる)話だったので、そう思ったのであった、と後で気付く。
おうちに帰ったら、佐々木夫妻並の浅ましい豆のぶつけ合いをして、今年の豆まき終了。