je suis dans la vie

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「ウィー・トーマス」プレビュー公演@グローブ座

アイルランドはイニシュモア島。中年男ダニー(木村祐一)と隣人の少年デイヴィー(少路勇介)が、頭の吹っ飛んだ黒猫を前に呆然としている。猫の名前はウィー・トーマス。ダニーの息子・パドレイク(高岡蒼甫)が5歳の頃から「親友」として飼っていた愛猫。パドレイクはINLA(アイルランド国民解放軍)の少尉で、あまりの残虐で過激な性格のため皆から怖れられている。トーマスが死んだと知ったら、何をしでかすか・・・。


初めてのグローブ座。おお、いいねいいね、天井桟敷!と思いながら、C列へ行ったら、最前列だった。そして、席にはビニールのシートが置かれていて、「着色性の液体が飛ぶかも」との注意書き。ってそれ「血のり」ですよね・・・。こういう日に限って、薄い色のワンピ着てきちゃったよー!長塚くんのばがっ!
とはいいつつ、そんな状況もワクワク。パドレイクがキレる度に、最前の人がガサガサとビニールシートを首まで引き上げる。(後で近くの人が「アトラクションみたい」と言っていた)。ま、血とか脳漿とか飛んできたけど(偽物よ、もちろん)、結局誰かにかかるほどでなく、ピッピッという程度で。C列も外しても良かっただろうに、ある意味サービスなのかな(きっとそうだ)。
それにしても、思い切りのよい残虐さ。銃はバンバン打つし、血はドバドバ出るし。死体の解体ではきちんとキム兄が内臓引き出してたり。えーと、普通、そういうの見てたらいやーっ!って思うんだろうけど、すいません、めちゃめちゃじっくり見て、大笑いしてました。ブレンダン(チョウ・ソンハ)の死体(もちろん人形)なんか、目の前にあったしねー。死体の顔、こっち向いてたし。どっちかっていうと、パドレイクがドラッグの売人をリンチしてるときの台詞の方が、なんかやーだったな。結局、その言葉にした残虐な仕打ちはしなかったんだけど。タメの方が怖かった。
高岡君は見るたびうまくなるなあ。長いテンポの良い台詞もかつぜつ良く。キレる若者を愛らしく演じてた。顔が綺麗なだけに、バカさ加減もなんだか笑える。人にはめちゃ残忍なのに、猫には一転して「パパでちゅよー」と赤ちゃん言葉なのも、猫好きとしては笑いつつ共感。
パドレイクに憧れるブチキレ少女・マレード役の岡本綾ちゃんは、色気と男前ぶりのバランスがよい。そしてあの衝撃の瞬間。いやー、あたしもそうするよ。たとえ初恋の男でも、飼い猫を殺したら殺すね。一撃必殺。
話は過激なんだけど、台詞の掛け合いが面白い。キム兄や堀部さんなどお笑いの人、富岡さんや今奈良さんなど、コミカルなキャラの役者さんを配置した理由も納得。設定の過激さにびっくりして、笑いの部分を楽しめないとこれは損だな。
それと、本当の猫がかーわーいーいー。ちゃんとニャーニャー鳴くの!おとなしいの!そうよ、あんな可愛いものを虐待するなんてイカン!
長塚君曰く、ブロードウエイでは人種的な部分で笑いが起きたそうな。まあ、白人社会だとそうなるのかな。長塚君はブラックな笑いの部分と、アイルランドの歴史の陰も意識していたようです。若さというアホさや、アイルランドという非日常を背負った国の日常に生きる人たちの部分がかいま見れる作品。マレードの「人殺しはあまり楽しくない」という台詞が、この血みどろコメディの真実。
終わったあとは、妙齢の女子3人で新大久保de韓国料理。ええ、もちろん肉を食いましたが、何か?豚の三枚肉を店員さんがハサミでジョキジョキ切ってるのを見て、同じようなシーンがあったわなんて思ってましたけど?ええ、もちろん、お肉は美味しくいただきました。何が怖いって、「LAST SHOW」の後にも焼肉に行って、今回も肉食ったあたしたちよねえ。次回もぜひ。