je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

『近代能楽集』@彩の国さいたま芸術劇場(2005/06/11)

椿の花がポタッ・・・ポタッ・・・と落ちる、その音と間だけで、この芝居いいわーと。耽美だわーと。私、桜よりも椿が好き。落ちるときに潔いから。でも、この話では椿は果てしなく落ち続けて、ぐるぐるとループする。
詩人役の高橋洋さんの色気が毎回上がっているような気がします。あれですね、処女が段々と恥じらいを超えて女になっていくような感じですかね(最近発言がおっさんくさいのは諦めてください)。演出家冥利につきるだろうなあ。今回は、ワルツを踊り、恋に悶え苦しみ、クサイ台詞をはきまくる洋さんが見られます。ステキング。
月川君の女形もやはり見所。もう、最初の方のミニスカ女子役の時は、絶対女だと思ってましたから。腰が細くて、膝が出てないので、もしや・・・?とは思ってたんですが。
洋さんと月川君はからみのシーンがないけど、一緒に出てるとバランス良いなと思います。遠くながらサポートしあってる感じ。互いに無い物を補完して、並行に進んでる。
それにしても、深草は稀代のストーカーだね。「陰陽師」でも深草&小町のネタがあったな。深草の情念のせいで成仏できない小町が、晴明になんとかしてってお願いするんだけど、深草の怨念が強すぎて「無理!」ってさすがの晴明も匙を投げたという。まあなー、百夜通ってOKなのに、九十九夜目で風邪ひいて、しかも雪の中倒れて死んだんだからねえ。そりゃ未練もたらたらよー。
あんまり男の子をじらしすぎるのもよくない、つーことですかね。風流だけどね。十夜くらいにしとけばよかったのに、とか。あと、風邪ひいた日はお休み、ノーカウントとか(違うような)。

  • 「弱法師」

うわー、こっちもエロス満載&ウザイ男だよう。さすが三島。うっとうしさと濃さがギリギリセーフ。きわどい耽美ワールド。
これは藤原竜也君にアテ書きしたんかい!いうくらいはまってましたな。一人芝居にしてもいいんじゃないの。夏木マリさんが途中かすんでみえました。でも、最後の二人のシーンはやはり圧巻。年上の女は深いのよー。手料理なんか作らないわ、店屋ものですよー。コムスメにはない懐の深さ、流行りの艶女ですよ。「あなたが、少し、好きになったから」という桜間の言葉が一番色っぽかったなー。「少し」か!「少し」なのか!とつっこみたくなったよ。あれでたぶん俊徳は落ちたからね。目がキラーン☆としたし。いつかプライベートで使おうっと(ヲイ)。
飼い主と愛玩動物の関係は、どちらが強者かということについては回転をし続けてるとは思う。飼い主は衣食住の提供をすることにおいて強者であるけれど、愛玩動物は愛情を受けている側の強みがある。そして「僕ってね、誰からも愛されるんだよ」と言って、飼い主を変えることもできるのだと脅迫できる。しかし、俊徳は桜間を選んだことによって、何か変わる可能性もあるのではないだろうか。桜間の「苦労をしていない手」は、失うことを恐れないふくよかさを持っていたのではないか。失う恐れのない飼い主のもとで、世界の終わりへのスリルを実感したいのかも。