je suis dans la vie

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「センター街」@下北沢ザ・スズナリ(2005/06/04 昼)

岩松了三本連続公演の第二弾。
内容としては前作の「アイスクリームマン」とほぼ同じ。一つの場所に集う、色々な人々。表層的で、何も生まれない関係。自己完結、自己中心的、ある意味簡潔な世界。
演出が倉持裕さんなので、違う部分があるだろうか、と思いつつ見たが、違いは分からなかった。前作よりも、場所が渋谷センター街ということで、時代の軽さのようなものはあったが、テキストがもともとそうなのだろう。
「岩松さんの脚本は映像的」といみじくも次作「隣りの男」主演の大森南朋さんが、シアターガイド(2005/7)で言っているが、確かに細かなハコ割り、ブラックアウト、集団の中の中心の置き方。ライトなどで視線を動かすのではなく、小道具や動作で人の目をひきつける(畳、缶コーヒー、ドア、椅子、絵、階段、突然のキス等々)。最後のシーンの破滅への道筋は、昇華させるために緻密に静かに練られている。
真木役のぼくもとさきこさんが少し息をつかせてくれた。しゃべり方のコミカルさが、滑稽さと可愛さの間にちょうどよく挟まっている。カーテンコールで、二人ずつの組み合わせで挨拶をするのだが、真木は片思いの警官・清水とペアルックのようになっていた。他の組み合わせもほぼそうだった。ただ、互いに選んだカップルなのではなく、「これとこれはこれで一組と決まっている」みたいな不自然な自然さが妙に納得できた。人はあるべき場所へ置かれるのだというかのごとく。
それにしても、岩松さんの脚本は、うまい具合に人物を浮き立たせる。これを違うキャストでやったらどうなのか。どうやっても岩松了なのか。ならば、誰がやっても普遍ということか。