je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

「お気に召すまま」(2004/8/21)

彩の国さいたま芸術劇場で蜷川さんが演出するシェイクスピアシリーズ。1週間経ってしまいましたが、感想をば。怪我してるのに、いいのかよ、というつっこみはさておき。
いやー、何が良かったってさあ、オーランドー役の小栗旬くんがいいわけよ。もう、ニーナ(蜷川さん)ありがとうっ!レスリングの試合の時の上半身ほぼ裸の衣装なんか、もう垂涎もの(ヲイ)。でも、一番いいなあと思ったのは、オーランドーが兄に追放された時、年老いた家来が、「お供します!」って言ったときに感涙しちゃうとこ。家来がなけなしのお金をオーランド−に渡して、一旦は受け取るのにまた返して。お坊ちゃまだから荷物もヨボヨボの家来に持たせてるんだけど、結局自分の分は自分で持つ。ちょうど通路側の席だったのだけど、二人が通路からはけるときに、小栗くんの目にキラーンと光る涙を見つけてしまって。感動。
小栗くんはすごく同年代の役者さんに好かれているようなのだけど(共演のナリしかり、塚本くんや高岡くんなどにも)、太陽のような子だなと思う。明るいだけではない。もっと何か、光そのもののような。周りを無意識に照らし暖めてしまう。こういう役をやると特に分かる。悪役やクセのある役もこなす力量はあるのだけど、こういうヒーローが一番はまるんじゃないか。足長いし(ってちげーよ。でも本当に長いのよ、美しいの)。
個人的には、高橋洋くん演じたジェイクイズがタイプ。シェイクスピアはどの役も自分を投影してるとは思うけど、一番自分の言葉を語らせていたんじゃないかなあ。恋するものたちを「阿呆」と呼びながら愛しみ、「私の憂鬱は私独自のもの」「悔い改めた人にこそ学ぶべきことがある」とか、深い意味を探ってしまう。でもこういう男を好きになると女は苦労するんだよねえ。
ロザリンドの成宮くんは今回の一番の成長株では。役柄も難しいし、周りにいい役者さんが多いいし、ニーナの愛の鞭は集中しただろうし、すごく大変だっただろう。楽日の興奮もあっただろうが、この日の熱は引き寄せられた。それを受け止める小栗くんとの息の合ったとこもさることながら。二人の結婚式のシーンのキスは、愛と友情と「お疲れ様」のキスだった。課題は多いだろう。でもその業を背負う覚悟がある、この子は根っからの女優。
シーリアを演じた月川くんは、全体をしゅっとまとめる位置にいた。女よりも女らしく、優雅で妖精のよう。そして意外にウィットに富んでいる。ニーナが気に入ってるのも道理。今回の拾いものでした。また女役で見たい。高橋くんと月川くんのオーランド−とロザリンドも見たいなあ、なんて。
事故から間もないせいか、ぼうっとしていたのもあって、「今日、楽日だっけ?」なんてボケてましたが、ああ生きてて良かったと心から思いました。ありがとう、ニーナ。また元気になって、いっぱいいいもの見に行かなきゃ!そのためには早く働けるようにならんとな。