je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

旧白洲邸「武相荘」

冬休み最後の日、またまた相方に連れられ、白洲次郎さんの町田にある、今は一般に公開されている「おうち」を見てきました。
奥様の白洲正子さんは、なんとなーく名前だけ知っていたのだけど、旦那様についてはほとんど知らなくて。だけど、おうちを見て回るうちに、なんとも魅力的なダンディーな方だなと、染み入るように感じました。
GHQとの折衝に同等に渡り合う語学力と頭の切れ、そして何より自分の生き方というものを誰に教わるでもなく、自ら育てていたのでしょう。当時の日本の情勢を考えれば、そして日本人独特の性質を考えれば、とても稀有な存在であったよう。
おうちは農家を少しずつ改築して、華美にするでなく、かといってまま質素にするでなく、家というのは「住むところ」ということを思わせました。今となっては、一軒家でもマンションでも、何か既存のもの、ありきたりのものでしかなく、自分で作り出すという努力はしなくなってしまっただけに、こういう場所は珍しい。人となりがよく分かりました。
間取りだけでなく、手作りの家具、少しずつ集めたであろう食器や着物、それらも高価なのではなく、趣味の良い、その人が「つかう」ことを目的として大切にしていたのが分かります。
特に書斎は、まだ使っているのではないのかしらん、と思わせるくらい、家主の存在感がありました。古い書物がところ狭しとびっしり詰まった本棚、使い込んだ机。人のうちに行くと、まず本棚を見てしまう私としては、ずっと見ていて飽きない場所。
家をそのまま展示するというのは、なかなか大変だとは思うけれど、季節の移り変わりを感じさせるこんな場所はいつまでも残してほしいものです。