je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

2022年映画ベスト10

1月も終わろうとしていますが、いまさらの昨年映画ベスト10です。

劇場で見たのが57本(新作28本・旧作29本)。配信等で見たのが85本。計142本。

ランキングは新作からのみです。

1位 パリ13区

見た時から、他とは違う感覚がした。映像も音楽も物語も。誰かと共有できるものでもなく、説明がしにくい。感動でもない、外国の若者の恋愛模様に共感したわけでもない。どちらかというと、老齢の監督のその優しい眼差しに憧れを持ったというのが正解かもしれない。まだ映画が続いている感覚がある。Roneのサントラがすごくいい。

2位 LOVE LIFE

日本で一番好きな監督。久しぶりに何度も見に行った映画。人間の深淵をやすやすと描く監督の初のラブストーリー(『本気のしるし』もあるけど、ドラマなので。オリジナル脚本長編映画としては本作が初ラブストーリーかと)。愛はミステリー&ホラー&サスペンス!と思ったら、宮崎駿的世界が底にあった。そして実は実写版◯◯◯◯。

分かり合えなさを分かり合う〜『LOVE LIFE』Bunkamuraル・シネマ - je suis dans la vie

「ほら、怖くない」ってことはやっぱりない~『LOVE LIFE』2回目&3回目鑑賞感想 - je suis dans la vie

深淵な新年ランランララランランラン♪~『LOVE LIFE』トークショー@横浜シネマ・ジャック&ベティ - je suis dans la vie

3位 アネット

久しぶりのカラックスというだけでごはん三杯。ではなぜ3位なのというと、色々理由はあるけど、なんだか1位というより3位、という感じがしませんか。決して桜餅のせいではありません。

愛という名の深い森で〜『アネット』試写会@ユーロライブ渋谷(ネタバレあり) - je suis dans la vie

現実と虚構の狭間でーアネット桜餅事件を振り返るー〜『アネット』鑑賞2回目@109シネマズ川崎(舞台挨拶回) - je suis dans la vie

4位 秘密の森の、その向こう

『燃ゆる女の肖像』といい、丁寧な人物描写は信頼できるし、安心して見ることができる。セリーヌ・シアマは誰にでもオススメしたい。

寄り添う小さな二つの魂〜『秘密の森の、その向こう』Bunkamuraル・シネマ - je suis dans la vie

5位 NOPE

語りたいyeah!考察したいyeah!な欲をそそられた映画No.1。しかしなんでアカデミー賞はNOPEをスルーしてるの?これこそ文化が結集した芸術だと思うんだが。

名もなき人々を蘇らせる”えいが米国昔ばなし”~『NOPE/ノープ』IMAX上映版 - je suis dans la vie

6位 ファイブ・デビルズ

映像にしにくい「香り」について、これほど明晰に表現できることが可能とは。ホラーサスペンス的な予告編やタイトルに反して、とても質の良いラブストーリー。

7位 彼女のいない部屋

モンタージュを駆使した映像表現と、ミステリーをうまくかけ合わせて、なおかつ詩的で音楽的で。心に優しく響き、触れるような映画。

8位 暴力をめぐる対話

フランスのドキュメンタリー。SNS映像を使った斬新さ、俯瞰的で冷静な視点もさることながら、フランス人らしく言葉による議論を駆使して、立場や背景違う人々が視線を絡め合う様を映像にのせた。その映像の力を信じるパワーに圧倒される。

9位 スパイダーマン:ノー・ウエイ・ホーム

賛否両論あれど、ヒーローの楽しさと孤独と苦悩を、ティーンエイジの甘酸っぱさに重ねた素晴らしい青春映画だと思います。マリサ・トメイ最高、ジェイコブ・バタロン(ミニ里崎智也!)の愛らしさよ。そしてトムホとゼンデイヤに幸あれ〜!

10位 恋人はアンバー

アンバーみたいな友達がほしいし、アイルランドに行きたくなるし。エディとアンバーの描き方のバランスがちょっと悪いラストではあるけど、もしかしたら大人になった2人は今も交流があって、エディはちゃんとアンバーに恩返ししてて、たまにダブリンかロンドンのパブで飲んでたりするんじゃないかって。そう思わせてくれる映画っていいと思いませんか。

総評または雑感

上位3作はほぼ同率。

では何が違うか。

2位と3位はそれぞれ三回見てて、何度見ても面白い。1位はもちろんまた見たい、とも思うのだけど、一回見てすごく充足感があった。まるで彼らと同じ時を過ごしているかのように。あのパリの13区に、あの子達がまだいるように思わせる。そういう意味では10位も似た感覚。

あと1位と10位の共通点として、自分がある程度年取って、若い人たちを応援したいとか微笑ましく見守りたいとか、そういう気持ちが出てきたのかな〜と。1位は特に監督の視線とリンクした。

2位と3位はフィクションとして楽しんで、身を委ねる感覚。5位もその感覚。

セリーヌ・シアマとレア・ミシウスの監督作がランクイン、そして2人が共同脚本の作品が1位。自分の中でこの2人は別格と分かる。全体的にフランス映画が多い。邦画はあまり見てないから1作だけになった。監督の作家性と、音楽と、ジェンダー感がポイントになっている。あとホラー的要素(ホラー映画でなくても)が重要なのかなと。
こういうの出すと自分の傾向が分かって面白い。

おまけ

ベストがあるならワーストもあるやろ、と思うのが世の常。しかし配信も含めてあんまりハズレなかったかも。強いて言えば『フレンチ・ディスパッチ』は楽しいんだけど、オマージュが多すぎて途中で飽きた(途中何回か寝落ちした)。元ネタが分かりすぎてつらい。そしてレア・セドゥ脱がせればいいってもんじゃないだろとも思ったしさ〜。レアも「私が脱がなきゃ誰が脱ぐ」なのかどうか知らんけど、もっと演技見せてほしいわい。あと『トップガン マーヴェリック』は楽しかったし、続編としてなかなか良いとも思うが、一般評価が高すぎる気が。相変わらずトム・クルーズの笑顔が苦手な私の意見なので偏見ありまくりですけど。

あと配信のマイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルの作品は選択肢から外したんだけど、いくつか劇場公開してたらランキングに入れてただろうなーというものもあったり。

今年の目標は100本以上は見られたらいいな。と感想書く時にエヴァに喩えるのをなるべく避けること、です。