je suis dans la vie

ライブとか映画とか芝居とか。ネタバレ有り〼。

配信観劇その③『The Winter’s Tale (冬物語)』(Cheek by Jowl, Barbican Centre, 2017)

英国の劇団チークバイジョウルの『冬物語』の配信を観賞。2017年、バービカンセンターにて。

f:id:star-s:20200528164422j:image

5月25までの公開。

現代アレンジの演出。衣装も現代的に。メインキャストは上品な雰囲気だが華美でない。モダンなクラシカルという感じ。後半のキャストは田舎が舞台なせいかカントリー風。

リオンティーズとハーマイオニーはシックでエレガント、パーディタや羊飼いが出てくるところはナチュラルカントリーな服装という感じ。

極端に現代的にしてるわけではなく、あまり時代性を感じさせないようにしてるのか。

セットもシンプルで箱をいくつか椅子や台にして終始シンプルに使い回す。縦にして裁判の証言台や法壇に見立てたり。

後ろにその箱と同じデザインの大きなセットがある。コンテナのようで、前面の板をスクリーンにして出演者の顔をアップに映し(別撮り?)演技の臨場感を増したり。プロジェクションマッピングの演出をしたり。

コンテナの壁を取っ払って中を別の空間(部屋)として見せたりはしてたが、大して活用してないように見えた。単純に舞台の立体感を感じさせる効果はあったように思う。この辺は実際に見てるのと、配信で映像で見るのと差がありそう。シンプルなセットで見やすかったが。

リオンティーズの勝手な思い込み&嫉妬で物語が始まる。このへんの理不尽さはシェイクスピアにありがちで、マクベスしかり四大悲劇しかり。神託のくだりとかオイディプス王っぽい。

その理不尽さをうまく演じるのが主役の力量なんだが、Orlando Jamesは自分勝手な王様を感情的にしかし品よく知的に見せていた(やってることは阿呆だけど一応阿呆さ加減を理解してるという程度の知的さでも)。そのおかげで王様の感情の激しい振り切り具合が、むしろ情の深さを表していて最後の和解にすんなり持っていったように思う。

ハーマイオニー役のNatalie Radmall-Quirkeの立ち姿の存在感と、感情的な夫と息子を受け止める演技もうまくそこにはまっていた。

その分後半のパーディタやその恋のドタバタ、羊飼いのあれこれが軽く見えてしまって、別の物語みたいになってしまっていた。モダンジャズを聴きにきたのに、途中で全然毛色の違うジャンルのバンドになってしまった感じ。それはそれでうまくはまればいいのだが。

全体的にはずっと見ていて話は分かりづらさもなく、演出も統一感はあった。